ネットワーク機器で起きている新しいトレンド、コモディティハードウェア。Pica8 CEOが来日。
ネットワーク業界で現在起きている大きな変化と言えば、OpenFlowを中心としたSoftware-Defined Networkがまず挙げられますが、もう1つ大きな変化が起きようています。ハードウェアのコモディティ化です。
現在のネットワーク機器は、ベンダ独自のシャーシの中にベンダ独自のソフトウェアが搭載され、中身はブラックボックス化されています。
しかし、コンピュータがメインフレームのようなベンダ独自のハードウェアとソフトウェアから、PCのように標準化されたコモディティハードウェアの上にさまざまなソフトウェアが動作するオープンなモデルへ変化したように、この先のネットワーク機器もコモディティ化されたハードウェアの上にさまざまなベンダがソフトウェアを乗せたオープンなモデルへと移行する。こう予想するのは、米国のネットワーク機器ベンダ「Pica 8」(ピカエイト)CEO James Liao氏。
同社のネットワークスイッチ製品は、多くのネットワーク機器で使われているブロードコムの「Trident+」チップセットを採用したコモディティハードウェアにLinuxカーネルを乗せ、仮想スイッチソフトウェアのOpen vSwitchとルーティングソフトのXORP(Extensible Open Router Platform)などを搭載したもの。
これによってスパニングツリーやVLAN、OSPF/ECMPなどを含むスイッチやルータの機能に加え、OpenFlowにも対応しました。
コモディティ化されたハードウェアとオープンソースによって構成された製品は、目立ったベンダ独自の機能などはないものの「同位機種の他社スイッチ製品と比較して20%~50%抑えた価格で提供します」(Pica 8と販売代理店契約を締結した日商エレクトロニクス)と、非常に低価格なのが大きな特徴となります。
コモディティ化がクリティカルマスになればASICを越える
コモディティハードウェアのネットワーク機器について、 James Liao氏はこう予想します。「ハードウェアがプロプライエタリなシャーシからコモディティ化へ進めば、より大きなスケールでイノベーションが起きるようになる。より多くの顧客が高性能を求め、マーケットの大きさがクリティカルマスに達すれば、ASICを超えるようになるだろう」
ネットワーク機器のコモディティハードウェア化は、Pica 8だけでなくArista Networksなども採用しています。また、インテルがFulcrumを昨年7月に買収したことも、インテルがネットワーク機器向けのチップセット参入によるコモディティ化を目論んでいるのではないかと考えられます。
コモディティ化したPCのハードウェアは、信じられないほど急速な低価格化と高性能化を引き起こし、その上にさまざまなソフトウェアが登場しました。これからネットワーク機器でも同じことが起きるとすれば、Software-Defined Networkによる変化と相まって、10年後のネットワーク業界はいまとはすっかり違ったものになっているかもしれません。