デルがPaaS型クラウド「Project Fast PaaS」をプレビュー。オープンソースのCloud Foundryを利用
デルはPaaS型クラウドサービスの「Project Fast PaaS」のプレビュー版を公開しました。先週開催された同社のイベント「Dell World」に合わせての公開です。
Project Fast PaaSは、VMwareがオープンソースで開発しているCloud Foundryをベースに構築されています。現時点で、以下の言語やフレームワーク、データベースに対応。
- Ruby、NodeJS、Java、PHP、Python
- Django、Grails、JavaWeb、Lift、Node、Play、Rack、Rails、Sinatra、Spring
- MySQL、PostgreSQL、MongoDB、RabbitMQ、Redis
なぜデルがCloud Foundryを選択したのか。Wikiのページでは次のように解説されています。
Cloud Foundry is an active open-source project with broad industry support released under Apache 2.0. It is also evolving rapidly with extensible design capabilities.
Cloud Foundryは活発なオープンソースプロジェクトであり、Apache 2.0ライセンスで業界の指示を広く得ている。また、拡張性が高く、急速に進化している。
このような理由は示されていますが、現時点でPaaSを実現するとすれば自力で開発するかCloud Foundryを選択するか、事実上選択肢はこのふたつでしょう。基本的にハードウェアベンダであるデルにとって自力開発を選ぶ積極的な理由はありませんから、デルにとってCloud Foundryが唯一の選択肢だったといえるでしょう。
クラウド時代のソリューションビジネスを先駆ける
デルはサーバからストレージ、そしてネットワーク機器もForce10の買収によって提供できる能力を備えた総合的なハードウェアベンダではありますが、クラウドに対しては管理ツールなども含めた積極的にソフトウェアへの投資をしています。
今回のCloud FoundryをベースにしたProject Fast PaaSの提供も、こうしたクラウドに対する積極的なソフトウェア戦略の1つです。
しかしこれはおそらく、デル自身がクラウドサービスプロバイダーとなるべく攻めているのではなく、ハードからソフトまでクラウドに必要な製品ポートフォリオを自社で揃えることで、クラウド時代のハードウェアビジネス、ソリューションビジネスのイニシアチブを握っていこうとする戦略の一環ではないかと思われます。
自社でいちはやくPaaSを実験することも、これからPaaSを構築しようとする顧客に先駆けて、リファレンスアーキテクチャのためのノウハウを蓄積するのが目的ではないでしょうか。
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