オラクル、データベースもクラウド対応強化「Oracle Database 12c」発表。Oracle OpenWorld 2012
オラクルは同社の主力分野であるデータベースでも強力なクラウド対応をはかってきました。ラリー・エリソン氏が発表したOracle Database 12cは、複数の顧客のデータをセキュアに分離しつつ1つのデータベースに統合できるという、クラウドで必須となる「マルチテナント」機能を搭載。
このマルチテナント機能はクラウド事業者だけでなく、複数のアプリケーションごとにデータベースを分けて運用している企業にとっても、データベースのコンソリデーションによるハードウェア資源や運用コストの節約につながる魅力的な機能です。
Oracle OpenWorld 2012の基調講演から、ラリー・エリソン氏がクラウドについて発表する部分を紹介します。
Oracle Database 12cはOracle Cloudの基盤となる
会場となったサンフランシスコのモスコーニセンター。ちなみに、1週間前にはセールスフォース・ドットコムがイベントを行っていました。
ラリ-・エリソン氏。
新しいデータベースを発表する。Oracle Database 12cだ。4年以上開発してきたもので、cはCloudにつながる。世界で初めてのマルチテナントデータベースだ。2013年にリリースする。
SaaSでは多くのカスタマにアプリケーションを提供するが、複数のカスタマのデータを1つのデータベースに入れられるため、マルチテナントにおける大規模運用で非常に高いコスト効果を発揮する。
これまでのSaaSベンダはアプリケーションレイヤでマルチテナント機能を実装していた。しかしアプリケーションでこれを実装するのは間違いだ。
また、これまでトラディショナルなOracleデータベースでは、アプリケーションが異なれば別のデータベースに分かれていた。そしてデータベースごとのメモリ、ファイルなどが割り当てられていた。
このスライドでは、ERP、CRM、DWHの3つのデータベースだが、数百のデータベースに分かれてそれぞれにハードウェアを用意する企業も珍しくない。数百のデータベースは管理に手間がかかり、バックアップするのも大変だ。
Oracle 12cはコンテナデータベースを備え、コンテナは複数のデータベースをプラグインできる。コンテナで1つのメモリ、1つのOS、その中でセキュアに分離されたブライベートデータベースを持つことができる。
データベースレイヤでマルチテナンシーを実現することで、複数のカスタマのデータベースのコンソリデーションを行い、運用コストを節約する。
マルチテナンシーの利点である効率の高さや運用コストの低減は、アプリケーションを変更することなく得ることができる。
効率の高さをトラディショナルなデータベース(11g)に比較すると、ハードウェアは6分の1で5倍スケーラブルだ。
運用も容易になる。まとめてバックアップをとり、プラグインデータベースごとにリカバリできる。
マルチテナンシーをデータベースレベルで実装することによるもっとも重要な点は、セキュリティの実現だ。それぞれのカスタマのデータは分離されたデータベースに保存され、それぞれの暗号化機能などのセキュリティ機能はマルチテナントであってもそのまま実現される。
アプリケーションレベルでマルチテナンシーを実装してしまえば、暗号化には対応できないし、標準のクエリツールもレポートツールも動かない。SaaS企業は独自のツールを用意しなければならない。しかしOracle Database 12cでは標準のツールがそのまま動く。
マルチテナントに対応し、高い効率性とスケーラビリティを備えるOracle Database 12cは、Oracle Cloudの基礎になるデータベースだ。
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