「OpenFlow 1.3は安定バージョンとして、2012年内の新機能追加はしない」、Open Network Foundationディレクターが来日
ネットワークの構成や機能をソフトウェアで定義しようというSoftware-Defined Networkを実現する標準仕様として注目されているOpenFlow。そのOpenFlowの仕様策定を行っている標準化団体「Open Network Foundation」のエグゼクティブディレクター ダン・ピット(Dan Pitt)氏が来日、記者発表を行いました。
ピット氏が来日した主な目的は、明日から幕張メッセで開催されるInterop Tokyo 2012に参加するため。しかし同時にピット氏は、日本でOpenFlowが盛り上がっていることを指摘し、「私はシリコンバレーをベースにしているが、日本にも頻繁に来ているし、それは私だけではない」と、OpenFlow関連での人の行き来が太平洋を越えて積極的に行われていると発言しました。
記者発表では、ピット氏がSoftware-Defined Networkの意義とOpenFlowの役割について解説。
「OpenFlowはSoftware-Defined Networkを実現する技術のひとつではあるが、いまのところOpenFlowに代わるほかの技術はない。OpenFlowが登場してまだ一年足らずだが、この技術が有用であることはすでに明らかになっており、毎月のように新たな製品などが登場している。Open Network Foundationはこの動きの最前線におり、日本企業の大きな貢献にも感謝したい」と、結びました。
OpenFlowにおける知的財産の扱いと、バージョン1.3について
記者との一問一答では、OpenFlowに関する知的所有権の扱いについてや、OpenFlowの最新バージョンと今後について説明されています。
──── OpenFlowの仕様策定にたり、既存の特許を侵害しないようにといった知的所有権の問題をどう解決しているのか。
ピット氏 Open Network Foundationに参加する企業は自動的に、OpenFlowに関する知的財産を共有する、というのがポリシーだ。そして共有している知的財産はロイヤリティフリーになる。
ほかの標準化団体では、ほかのメンバに対して知的財産を適切にライセンスする、という条件のところもある。このとき、適切にライセンスすることが何を意味するのかは定義されていない。しかしOpen Network Foundationにおいては、それは無償だとしている。
──── Open Network Foundationに参加していない企業が保有する特許などが、これまで標準化の障害になったことはないのか?
ピット氏 私の知る限りない。
──── OpenFlowはバージョン1.3でいったんバージョンアップのスピードをゆるめると聞いた。
ピット氏 Open Network Foundationは、スタンフォードから仕様策定を引き継いで以来、着実にOpenFlowをバージョンアップしてきたが、バージョン1.3を実装に対して安定的なバージョンとして提供しようと考えた。このあとのバージョン1.3.xはバグフィックスとなり、新たなメジャーフィーチャーは今年中に入れる予定はない。実装した企業からのフィードバックをもらうことになる。
これはスイッチングプロトコルの仕様についてで、コンフィグレーションプロトコルについては今後も作業を続けていくし、テスティングについても作業を続けていく。
また、上位レイヤのインターフェイスやイーサネット、オプティカル、ワイヤレスといったテクノロジーについても着目したいと考えている。
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