クラウド時代にストレージベンダはどう生き残るか。NetAppが、Amazonクラウドと自社ストレージを直接接続する「NetApp Private Storage for Amazon Web Services」発表
クラウド時代。サーバを購入する主役はエンドユーザーからデータセンター事業者へと変化し、サーバベンダもそれに合わせて製品作りをしています。ではストレージベンダはどうでしょう? 多くのクラウドベンダ、グーグルも、Amazonも、Facebookも、おそらくマイクロソフトも、ストレージの仕組みは自分たちで作り上げており、ストレージベンダの製品を買うことはないでしょう。
しかも、AmazonクラウドはユーザーのIAサーバをストレージアプライアンス化してクラウドへ接続するソフトウェア「AWS Storage Gateway」をリリースしたり、Fusion-ioもioDrive搭載x86サーバを共有ストレージ化する「ION Data Accelerator」をリリースするなど、IAサーバをストレージ化するソフトウェアは一般化しつつあります。
あるいはマイクロソフトがStorSimpleを買収したように、クラウドベンダがストレージサービスをストレージ機器にまで拡張しようという動きもあります。
専用ストレージベンダはクラウド時代に向けた専用ストレージをどう位置づけるべきなのか、新たな戦略を求められているのです(一方でビッグデータという希望もあります)。
そうした中、NetAppはクラウドに適応した専用ストレージの新しいあり方として「NetApp Private Storage for Amazon Web Services」(以下、NetApp Private Storage)を発表しました。
クラウドに自社保有ストレージをダイレクト接続
NetApp Private Storageを簡単に言えば、クラウドの中で自社保有のストレージを使う、ということです。ただし、クラウドのデータセンターに自社のストレージを持ち込むことは許されていません。実際にはクラウドのデータセンターのすぐとなりのデータセンターに自社保有のストレージを設置し、高速な専用回線でクラウドのデータセンターと接続することで、まるでクラウドの中に自社保有のストレージがあるように運用できるのです。
ユーザーはクラウド内のサーバインスタンスからNFS、iSCSI、CIFSなどで自社保有ストレージへ接続できます。
NetApp Private Storageでは、この自社保有のストレージがNetAppのストレージであり、クラウドはAmazonクラウド、専用回線はAmazonクラウドが提供しているAWS Direct Connectです。
クラウドから自社保有ストレージを利用する利点をNetAppはいくつか挙げています。1つはもちろん、センシティブなデータを自社保有の機器内で保存しておけること。サーバインスタンスは処理に応じて大きく変動する一方、ストレージは大きく変動することは少ないため、機器を保有するとコスト面で有利なこと。
そしてNetAppのような専用ストレージでは、クラウドストレージにはない豊富な機能が利用できるため、SAPのERPのような業務アプリケーションを稼働させる際にそれらが非常に便利なことなどを挙げています。
ストレージベンダにとって、クラウド時代にいかに製品やサービスを適応させていくかは大きな課題です。NetApp Private Storageは、その興味深い例の1つとして見ることができます。
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