シスコが相次いで買収したMeraki、Cloupiaはどういう企業か?
シスコがどん欲に買収を繰り返しています。先月、仮想ネットワークを実現する技術を持つvCiderを買収したのに続いて、今月はMeraki、Cloupiaと相次いで買収を発表しました。
Merakiは、複数拠点のネットワーク、無線LANなどのネットワークインフラをクラウドで一元管理する機能を提供するベンダ。Cloupiaは、VBlockやFlexPod、VSPEXといったクラウド向けサーバやストレージを一元管理するマネジメントツールを提供しています。
両社の買収から、シスコが目指しているのはクラウドを構成するネットワーク機器やサーバといったハードウェアと、クラウド全体をマネジメントするソフトウェアを統合して提供できる企業になること、という方向性が見えてきます。
クラウドでネットワークを統合管理するMeraki
Merakiは、無線LANのアクセスポイント、ファイアウォールやVPNなどの機能を備えたセキュリティアプライアンス、QoS機能なども備えたスイッチ、BYODを実現するモバイルデバイス管理ツールなどの製品を用意しています。
Merakiが非常にユニークなのは、こうした同社製品をクラウド経由で一元管理できることです。ユーザーごとのトラフィックやネットワークの状態を詳細に把握することが可能。
複数拠点間のVPN接続や拠点ごとの障害発生状況など、大規模ネットワークにも対応します。
クラウドのインフラを一元管理できるCloupia
一方のCloupiaは、シスコ/EMC/VMwareのVBlock、EMCのVSPEX、シスコ/NetAppのFlexPodといったデータセンター向けに統合されたサーバとストレージに対して、仮想サーバやストレージなどをプロビジョニング、運用管理、レポーティングなどを一元的に行うことができます。
この画面はVSPEXに対して仮想サーバとストレージをプロビジョニングしているところ。
サーバの状況を把握し、構成を更新すると行ったことも可能。レポーティングも可能です。
シスコはクラウドレベルでの垂直統合を目指す
データベースベンダから始まったオラクルが、ハードウェアとソフトウェアの垂直統合によって優れたデータベースマシンを目指したように、ネットワークベンダから始まったシスコは、ネットワーク機器と同社のUCSサーバをソフトウェアと垂直統合することで、ネットワークで組み合わされた多数のサーバ、ストレージから構成されるクラウドレベルの優れたシステムを提供しようとしている。これまでのシスコの一連の買収やCloudStackへの参加といった動きを見ていくと、こうしたシスコの目指す方向性が見えてきます。
しかしこれを目指しているのはシスコだけではありません。デルも過去数年にわたるストレージベンダやネットワーク機器ベンダの買収により一連のハードウェアを揃えた上で、先日はインフラ自動化ソフトのゲイル・テクノロジーズを買収するなどクラウドの自動化やマネジメントを実現するソフトウェアベンダの買収や開発に積極的ですし、ヒューレット・パッカードも同様です。オラクルもパブリッククラウドを構築する能力があることを証明しつつ、クラウド関連のソフトウェア市場へ進出することは明らかでしょう。
もちろんVMwareやマイクロソフト、シトリックスといったソフトウェア専業ベンダ、OpenStackやCloudStack、といったオープンソース陣営も、クラウドインフラのためのソフトウェアを着々と強化しています。この分野はまだ黎明期。これからもさらに買収や合従連衡といった複雑な動きが繰り広げられることになるはずです。
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