あのリアルタイムJavaScript/HTML5開発基盤「Meteor」、8.5億円のベンチャー投資を受け入れ
Webアプリケーションを開発するためのフレームワークと実行環境「Meteor」を開発するMeteor Development Groupは、11.2ミリオンドル(約8.5億円)のベンチャー投資を受け入れたと発表しました。
Meteorは、JavaScript/HTML/CSSでアプリケーションを実現するフレームワークと実行環境を提供しています。Meteorにおけるコードの実行はサーバサイドにもクライアントサイドにもすべてリアルタイムで反映されるという大きな特徴を備えており、開発者はクライアントとサーバのロジックを書き分ける必要がありません。
詳しくは4月に掲載した記事「「Meteor」は、JavaScript/HTMLで開発するリアルタイムWebアプリケーション基盤。何が起きているのかすぐに分からないほどすごい」をご覧ください。
今回の投資を受けて製品版のコード名「Galaxy」を開発することが表明されました。
Meteor will always be free and open-source. Eventually, we plan to make a commercial product too, called Galaxy. Galaxy will be a product that the operations department at a large company might buy. It'll be an enterprise-grade, multi-tenant hosting environment for Meteor apps.
Meteorはこれからもずっと無料でオープンソースのままだ。とはいえ、私たちはコード名「Galaxy」と呼ぶ製品版の計画もしている、Galaxyは大企業が購入して運用するようなものになるだろう。それはMeteorアプリに対して、エンタープライズ対応でマルチテナントホスティング環境となるだろう。
ただしGalaxyはずっと先の計画であり、現時点ではMeteorに注力するとのこと。
マーク・アンドリーセン氏らによるAndreessen Horowitzが投資
現在のMeteorのバージョンはまだ0.38。1.0のリリース時期は明らかにされておらず、製品化の見通しも立っていません。この段階で投資の大部分を行ったのは、あのマーク・アンドリーセンらによる「Andreessen Horowitz」だそうです。
Andreessen Horowitzからの投資を受け入れた理由として、彼らが非常に優秀だということに加え、ビッグネームでありCIOにもよく知られていることから、将来エンタープライズ市場にMeteorを売り込む上で有利だと考えたこと。
また、Andreessen HorowitzのパートナーのひとりであるPeter Levine氏は元XenSourceのCEOで、オープンソースをエンタープライズ市場で展開するエキスパートであることも示されています。
HTML/JavaScriptフレームワークへのベンチャー投資
まだビジネスモデルも明らかでないソフトウェアを、技術的な先進性などを評価して数億円もの投資を行ってしまう米国市場の懐の深さはさすがですが、ここでは特にその投資対象がHTML/JavaScriptフレームワークであることに注目したいと思います。
Publickeyでは以前からさまざまなHTML/JavaScriptフレームワークに注目し、紹介してきました。それはこれからのエンタープライズ市場では、HTML/JavaScriptが非常に重要なアプリケーション基盤になると予想しているためです。
かつてJavaのアプリケーション基盤や開発ツール、フレームワークが次々とオープンソースなどで登場し、それがエンタープライズ市場へ大きな影響を与えてきたように、これからHTML/JavaScriptのフレームワークが業務アプリケーションを開発するデベロッパーにとって欠かせない技術になることでしょう。
今回の投資は、そうしたHTML/JavaScriptにおけるフレームワークの重要性と将来性を同じように見たものではないかと思います。