Java EE7のPaaS対応は「新しい破壊的な力がある」──JavaOne 2012 Tokyoから
JavaOne 2012 Tokyoのキーノートでは、OracleのJavaチームがJava EE7のPaaS(Platform as a Service)機能の概要を説明しました。エンタープライズJava分野では、ここ数年で最も大きな変化になるかもしれません。
Java EEはプラットフォーム自体がサービスとなる
JavaOne 2012 Tokyoは4月4日、5日の2日にかけて開催されました。その2日目に行われた「Technical Keynote」で、OracleのMike Keith氏(Enterprise Java Architect)はJava EE7のクラウド機能には「新しい破壊的な力」がある、と語りました。Java EEでは「プラットフォーム自体がサービス」となり「ビジネスのやり方自体が変わる」からです。
重要なことは、Java EE7は、複数のベンダーの賛同を得て開発される業界標準であることです。PaaSのテクノロジは今までシングルベンダーのソリューションが中心でしたが、Java EE7は一種の「クラウド標準」の地位を狙う、という姿勢です。
Java EE7が備えるクラウド対応の機能として、クラウド環境に対応した自動プロビジョニング、弾力的なスケールアップ、分離・隔離された同じアプリのインスタンスを異なる「テナント」のために使うマルチテナンシーを挙げています。また、クラウド環境では参加する人々の役割(ロール)が多く複雑になるため、それを意識した管理モデルを採用します。Java EE7のリファレンス実装は「GlassFish4」として2013年第2四半期に登場予定です。
Oracleはパブリッククラウドの提供を開始しています。Java EE7のクラウド対応機能は、やがてOracleのアプリケーションサーバーWebLogicに取り入れられ、Oracleが運営するクラウドで使われるようになるでしょう。
強味は「標準のJava」であること
JavaEEの強みは、なんといっても「標準のJava」であること、そしてJava EEベースのアプリケーションがすでに多数存在することです。Java EE7のPaaS機能が成功したなら、ユーザー企業が自社保有のシステムで稼働させていたアプリケーションをJava EE7ベースのPaaSへ移行するような動きが出てくるかもしれません。
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(著者の星 暁雄(ほし あきお)氏はフリーランスITジャーナリスト。IT分野で長年にわたり編集・取材・執筆活動に従事。97年から02年まで『日経Javaレビュー』編集長。08年にインターネット・サービス「コモンズ・マーカー」を開発。イノベーティブなソフトウエア全般と、新たな時代のメディアの姿に関心を持つ。 Androidに取り組む開発者の動向は要注目だと考えている)
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