インテルのInfiniBand再参入で、InfiniBandは普及期を迎えるか?
インテルは、QLogicからInfiniBand事業を買収すると発表しました。
InfiniBandは高性能なマシン間インターコネクト技術。一般に現在のデータセンターではマシン間の接続にイーサネットが用いられていますが、より高速なマシン間接続のニーズは高まり続けており、InfiniBandへの注目は高まっていました。
しかしこれまでInfiniBnad製品は主にハイパフォーマンスコンピューティング専用と考えられており、製品を提供するベンダも限られていたため、一般に広く用いられる環境は整っていません。
現在市場にInfiniBand製品を出荷している主なベンダは、メラノックス、QLogic、Voltaire、そしてオラクルの43社(Voltaireはメラノックスに買収されていました)。
そもそもInfiniBandがこのようなマイナーな分野に押し込められたのは、2002年頃にインテルがInfiniBand関連製品の開発を中止しメジャーベンダからの製品提供が望めなくなったことが大きな理由と考えられています。
そのインテルが今回の事業買収によってInfiniBand市場へ再参入したことで、あらためてInfiniBandが普及する目が出てきたのかと思いたくなりますが、インテルはリリースの中でInfiniBandはハイパフォーマンスコンピューティング分野に用いると説明しています。
This acquisition is designed to enhance Intel’s networking portfolio and provide scalable high- performance computing (HPC) fabric technology as well as support the company’s vision of innovating on fabric architectures to achieve ExaFLOP/s performance by 2018.
この買収はインテルのネットワーキング製品の品揃えを拡張するとともに、スケーラブルなハイパフォーマンスコンピューティング用ファブリックテクノロジーのためでもあり、2018年までにExaFLOP/秒の性能を実現するためのファブリックアーキテクチャを革新するビジョンのためでもあります。
この文面から判断すると、インテルがInfiniBandをイーサネットのような汎用分野に適用することはあまり期待できないようです。とはいえ、インテルの参入はInfiniBand市場の将来性について一定の保証がついたと考えることができ、それが市場に与えるインパクトは大きいでしょう。
イーサネットもInfiniBandも
インテルは昨年7月に、データセンター向けイーサネットスイッチのチップやソフトウェアを開発するFulcrumを買収済みです。
インテルはプロセッサにとどまらずストレージ、ネットワーキングと、データセンターに必要な技術を包括的に提供する方針を明らかにしていますから、今後データセンターのネットワーキングにはイーサネットともにInfiniBandも重要な役割をはたく可能性がある、と判断して今回の買収を決断したと考えられます。
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