IBM、ハードとソフトを垂直統合したデータベースマシン「PureData System」発表。オラクルExadataとの違いは
ハードウェアとソフトウェアを垂直統合し、データ処理の目的に最適化したデータベースマシンとして、日本IBMは新製品の「PureData System」を発表しました。
PureData Systemには、トランザクションに最適化されたモデル、データウェアハウスに最適化されたモデル、ストリームデータ処理に最適化されたモデルの3つがあります。
PureData Systemの特徴は「ハードとソフトを統合しただけでなく、IBMのエキスパティーズ(専門家のノウハウ)が入っている。ここがもっともわれわれのバリューがあり、他社製品と比べた大きな違い」(日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏)。専門家のノウハウをシステム構成のパターンとして用意、導入から運用まで従来よりも短期かつ低コストで実現できるとのこと。
ハードウェアやソフトウェアの価格は低下傾向にあり、月額課金モデルのクラウドの登場はそれに拍車を掛けている面があります。そこで重要性が増す付加価値としての専門家のノウハウを対面で提供していては、人月商売となってビジネスがスケールしません。
IBMが今回のPureDataや4月に発表したPureSystemsなどの特徴としてアピールする「専門家の知識、ノウハウをパターンとして用意し提供する」という手法は、付加価値としての専門家のノウハウをスケールさせるためだといえます。そして、ノウハウをパターンに落とし込むためには基準となるハードウェアとソフトウェアの組み合わせが必要であり、それが垂直統合のPureSystems、PureDataであると考えられます。
オラクルExadataとは設計思想に違いが
ハードウェアとソフトウェアを垂直統合したデータベースマシンと言えば、オラクルのExadataがすぐに思い浮かびます。しかし両社の説明を聞く限り、その設計思想は異なっています。
オラクルのExadataは、ラック数などの違いはありますが基本的にどの顧客にも同じ構成で利用することを前提とし、あらゆる利用場面に対して徹底的に性能と機能を磨き上げるという設計思想です。だからこそ運用やメンテナンスの自動化が容易になるとしています。
一方で、IBMのPureDataは利用場面ごとに最適なシステム構成をチューニングすることを前提にしており、そのためにさまざまな専門家のノウハウをパターンとして用意します。パターンの選択によって最適な性能、機能、自動化も含めた運用コストの削減などを実現しようとしているのです。
近い将来にはクラウドとの相互運用も
PureDataの3モデルはそれぞれハードウェア構成もソフトウェア構成も異なっています。
トランザクションに最適化されたモデル「PureData System for Transactions」は、データベースとしてDB2 pureScaleを採用し、IAサーバ、10GbE、SSD/HDDなどをベースにしたハードウェアにRed Hat Enterprise Linuxを搭載したもの。
データウェアハウスに最適化されたモデル「PureData System for Analyticsは、従来のデータウェアハウス向けアプライアンスだったNetezzaの次期製品。
ストリームデータの処理に最適化された「PureData System for Operatinal Analytics」は、従来製品の「IBM Smart Analytics System」を置き換えるものです。
IBMは今年の4月に、サーバとソフトウェアを統合した新カテゴリの製品群「PureSystems」を発表しています。このときには、ハードウェアとハイパーバイザやOSが統合されたインフラ向けの「PureFlex」と、DB2やWebSphereなどのミドルウェアまで統合された「PureApplication」の2モデルが発表されました。
クラウドに例えると、PureFlexは「IaaS」、PureApplicationは「PaaS」となり、今回発表されたPureData Systemは「DBaaS」に相当します。
IBMはクラウドサービスとしてSmarterCloudも展開しており、そう遠くない将来には、オンプレミスで運用しているPureApplicationやPureDataのパターンを、そのままクラウド上でも展開できるようにすることで、オンプレミス上のシステムをクラウドにデプロイしたり、逆にクラウドのシステムをオンプレミスにデプロイするといった柔軟なシステム展開も視野に入れていると説明しています。
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