日本IBM、基幹業務向け運用管理を付加したIaaS型クラウド「SmarterCloud Enterprise+」を発表
日本IBMは、企業向けIaaS型クラウドサービスとして提供してきた「IBM SmarterCloud Enterprise」に、運用管理サービスを付加した「SmarterCloud Enterprise+」(スマータークラウドエンタープライズ・プラス)を8月初旬から提供開始すると発表しました。
すでに米国、ドイツのデータセンターなどでは提供を開始しており、それをグローバル展開するものです。
サービスレベルにあったSLAと運用を提供
SmarterCloud Enterpirse+は、IBMのクラウドアーキテクチャに基づき設計、標準化されたIaaS型のクラウドに、ITILに基づいたサービス管理機能やセキュリティー機能をマネージドサービスとして追加したもの。
これまでのSmarterCloud Enterpriseでは、サーバのサイズとOSやミドルウェアの種類を選択し、その組み合わせによって時間課金していましたが、今回発表されたSmarterCloud Enterprise+では、これにサービスレベル、および運用サービスの種類を追加で選択できるようになっています。
サービスレベルは、可用性98.5%の「ブロンズ」、99.5%の「シルバー」、99.7%のゴールド、99.9%のプラチナなどがあり、運用サービスにはサーバのモニタリングからOSのセキュリティパッチ対応、セキュリティスキャンやアラートなど、あらかじめ用意された運用メニューから選択できます。
日本IBM 取締役副社長 グローバル・テクノロジー・サービス事業担当の下野雅承(しものまさつぐ)氏は、こうしたサービスレベルと運用レベルが選択できる点について、「使用目的に会った可用性でシステムを組むというのはそう簡単なものではない。本番環境は99.9%必要だが開発環境は95%でいいという、要件と経済性のミックスを持つシステム構築は難しく、お客様のデータセンターでは(高いレベルで)均質になっていることが多い。IBMはそれぞれの要件に会わせた価格体系で、全体最適を提供する」と、SmarterCloud Enterprise+の利点を示しました。
クラウドに業務アプリケーションを
日本IBMはこのSmarterCloud Enterpirse+を企業の基幹業務向けに提供する方針で、SAPとの協業によって同社の業務アプリケーションインフラと組み合わせ、プラットフォームサービスとして提供するSmarterCloud for SAP Applications (SC4SAP)の開発意向を表明しています。これは本年後半に、日本のデータセンターでのサービス提供を開始予定。
IBMは先月発表したpureSystemsでもハードウェアとソフトウェアの組み合わせに対して同社の専門性をパターン化させたノウハウを取り入れており、今回のSmarterCloud Enterprise+でも運用サービスをカタログ化してグローバルに展開する体制を実現しています。
この2つに共通するのは、これまで人間が提供していた専門性をパターンへと落とし込み、それをインフラビジネスと組み合わせることで、専門性を維持しつつスケーラブルなビジネスへと発展させていこうという方向性です。
ハードウェアの価格低下やサーバの仮想化、クラウドによってインフラがコモディティ化する中で、付加価値を実現するには高い専門性が必要となりますが、それを人間が対面で提供していてはビジネスはスケールしませんし、顧客が求めるスピード感に合わないかもしれません。pureSystemsと今回のSmarterCloud Enterprise+の試みは、どうすればそれをスケールし、迅速に展開可能なビジネスにできるか、というIBMの取り組みの第一歩ではないでしょうか。
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