速度向上とモバイル対応を目指したHTTP 2.0のプロポーザル、マイクロソフトがIETFに提出。SPDYとWebSocketが起点に
IETFでHTTPについて議論するHTTPbisにおいて、HTTPの次のメジャーバージョンアップとなるHTTP 2.0の議論が開始されたことは1月の記事「HTTP 2.0はグーグルのSPDYがベースになる? 議論開始の提案がIETFで」で紹介しました。
HTTP 2.0の大きなテーマとして掲げられているのが、HTTPの通信速度の向上とネットワークの利用効率の向上です。記事でも紹介したように、このときにHTTP 2.0の技術としてすでに実績のあるSPDYを用いてはどうか、という案が浮かび上がっていました。
HTTPbisのメーリングリストでも活発にHTTP 2.0の議論が続けられる中、マイクロソフトは今週行われているHTTP 2.0をめぐるIETFのフェイス・ツー・フェイスミーティングにおいて、プロポーザル(提案)を提出したことを明らかにしました。
プロポーザルの概要は「Speed and Mobility: An Approach for HTTP 2.0 to Make Mobile Apps and the Web Faster」にまとめられており、実際に提出されたプロポーザルは「HTTP Speed+Mobility」として公開されています。
SpeedとMobilityの改善
マイクロソフトのプロポーザルも、当然ながらHTTPbisでのHTTP 2.0の方向性に沿って「Speed and Mobility」となっています。ここでのSpeedは通信速度のことで、Mobilityとは効率的に通信できるようなプロトコルにすることでモバイルの電池消耗を小さくすることを意味しています。概要を示した文書「Speed and Mobility: An Approach for HTTP 2.0 to Make Mobile Apps and the Web Faster」から引用します。
Improving HTTP should also make mobile better. For example, people want their mobile devices to have better battery life. HTTP 2.0 can help decrease the power consumption of network access.
HTTPの改善はモバイルもよりよくしなければなりません。例えば、誰もがモバイルデバイスのバッテリーが長持ちしたほうがいいと考えています。HTTP 2.0は、ネットワークアクセスにかかる電源消費量の削減の助けとなるべきです。
SPDYとWebSocketsが起点
そしてやや驚きともいえるのが、マイクロソフトのプロポーザルが、グーグルのSPDYとWebSockets関連を起点としていることです。
The HTTP Speed+Mobility proposal starts from both the Google SPDY protocol (a separate submission to the IETF for this discussion) and the work the industry has done around WebSockets.
この「HTTP Speed+Mobility」プロポーザルは、グーグルのSPDYプロトコル(この議論のため分かれてIETFに提出されている)とWebSockets関連でのこの業界の成果を起点とする。
SPDY has done a great job raising awareness of web performance and taking a “clean slate” approach to improving HTTP to make the Web faster. The main departures from SPDY are to address the needs of mobile devices and applications.
SPDYはWebパフォーマンスについての関心を引き起こすことに大いに貢献し、Webをより早くするためにクリーンステートなアプローチによるHTTPの改善を行ってきた。
HTTPbisのメーリングリストでもHTTP 2.0とSPDYの関係についての議論が続いており、マイクロソフトもSPDYを前提としたプロポーザルを提出したことで、HTTP 2.0の議論は当面SPDYを軸に行われることになりそうです。
ただしもちろん、HTTP 2.0の議論はまだこの先おそらく長い時間かけて行われることになるでしょうから、まだHTTP 2.0が最終的にSPDYベースになるかどうか、といった予想が出せる段階ではありません。
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