Fusion-io、10億IOPSの新技術「Auto Commit Memory」発表。ストレージなんてレベルじゃない、パーシステントなメモリだ
現代のコンピュータにおいて、メモリとストレージはプロセッサと並ぶもっとも基本的な構成要素です。高速なアクセスを担当するのがメモリ、データの永続性を保証するのがストレージです。
Fusion-ioは、ストレージ性能に換算すると10億IOPSという超高性能を実現するAuto Commit Memory(ACM)を発表。ACMとは、永続性を備えた新しいタイプのメモリだと説明しています。
ACM is a new memory type that uses the underlying flash to present a persistent memory directly to applications.
ACMはフラッシュを基盤に用いた新しいタイプのメモリであり、アプリケーションに対して永続性を備えたメモリを直接提供する。
Fusion-ioは、PCIeスロットに接続する高速なサーバ内蔵型フラッシュストレージという、新しいストレージデバイス分野を切り拓いてきたベンダです。昨年11月には130万IOPSの高性能フラッシュドライブ「ioDrive Octal」を発表したばかり。130万IOPSでも怪物のような高性能といえますが、ACMの10億IOPSはそこからさらに3桁向上しています(恐らくメモリと比べてそれほど遜色ないと想像します)。
今回の発表で同社は、ストレージベンダという枠を越え、新たなコンピュータアーキテクチャを実現するコンポーネントベンダへと大胆な一歩を踏み出したといえます。
この技術は、ハードとソフトのどちらのアーキテクチャも大きく変える
Auto Commit Memoryがどのような技術で実現されているのか、詳細は明らかにされていません。
しかし、コンピュータのスイッチを切ってもメモリの内容が消えないのなら、そして大容量ストレージのようにじゃぶじゃぶと大量のメモリをデータ保存に使えるのなら、さらにそのメモリが既存のメモリと同じように高速にアクセスできるのなら、ストレージとメモリの区別は必要なくなります。コンピュータのハードウェアアーキテクチャも、ソフトウェアアーキテクチャも大きく変わるでしょう。
同社のブログにポストされた記事「One Billion IOPS: Auto Commit Memory Blurs the Line Between Enterprise Storage and Memory」では、この技術の可能性を次のように記しています。
With ACM we create the next step in the blurring of storage and memory – a tier of direct access persistent memory – which will further change what “memory” and “storage” mean in enterprise architectures.
ACMによってストレージとメモリのあいまいな境界線はさらに次の段階に進む。永続性メモリへのダイレクトなアクセス、それはエンタープライズアーキテクチャにおける“メモリ”や“ストレージ”の意味をすっかり変えてしまうだろう
従来の製品をベースにしているよう
同社は1月5日サンフランシスコで行われたDEMO EnterpriseにてAuto Commit Memoryを実際にデモンストレーションしましたが、そのときの構成は、HP ProLiant DL370サーバにそれぞれioDrive2 Duosを用いたものと説明されているため、Auto Commit Memoryは従来のFusion-ioの製品をベースにした技術のようです。
Data integrity is assured by the ioMemory architecture’s ability to flush all in-flight data, even if the power is abruptly cut, without the need for super capacitors or batteries.
もしも不意な電源断でキャパシタやバッテリがなくとも、データの一貫性はioMemoryアーキテクチャが備える実行時データのフラッシュ保存機能によって保証されています。
フラッシュドライブは、ストレージを高速化するという直線的な進化から大きく飛躍し、ストレージの存在そのものを変えようとしています。