EMC、満を持してPCIe接続フラッシュストレージ発表。「Fusion-ioより速い」と強調
ストレージ最大手の米EMCは2月6日、新製品の「VFCache」を発表。PCIeをインターフェイスにしたサーバ内蔵型フラッシュストレージ市場に参入しました。
PCIeをインターフェイスにしたサーバ内蔵型フラッシュストレージは、従来のストレージインターフェイスによるボトルネックがないため、単純にストレージの中身をフラッシュに置き換えるよりもずっと大きな性能を発揮します。
従来のストレージに比べて飛躍的な性能を備えたこのストレージは、仮想化などでさらに高速なI/O処理が要求されるようになったエンタープライズ市場のニーズに合致、いま非常に注目されるストレージデバイスとなっています。
Fusion-ioと性能面で真っ向勝負
この新たなストレージデバイスの市場を開拓してきたのが、新興ストレージベンダのFusion-ioでした。EMCの参入は、Fusion-ioとの真っ向勝負を意味します。
EMCのパット・ゲルシンガー氏は発表会で、新製品のVFCacheをFusion-ioの製品と比較したスライドを示しつつ、「私たちは業界でもっとも優れたテクノロジーを提供する」と発言。同社の製品が性能面でFusion-ioを上回っていることを強調しました。
さらにOracleとSQL Serverのベンチマーク比較でも、Fusion-ioと比較して高い性能を実現するとの調査結果を示しています。
共有ストレージアレイと統合
VFCache最大の特徴は、既存のEMCのストレージ群と統合されているところでしょう。同社のFASTアーキテクチャによって、ストレージアレイのキャッシュとして利用できます。VFCacheの容量は300GBですが、これを超高速なキャッシュとして用いることで、大容量の大規模ストレージアレイに対するアクセスを高速化できます。名称が「VFCache」となっていることからも、基本的にはこの使い方がメインであることを同社は想定しています。
すでにEMCのストレージを導入している顧客は、VFCacheを採用することでそのままシームレスにシステムを超高速化できる、というわけです。総合ストレージベンダとしてのEMCのアドバンテージを非常にうまく製品に応用しているといえます。
しかもサーバ内蔵ストレージに保存されているデータは自動的にストレージアレイ側にコピーされるため、データに対する保護の面でも大きな利点となります。
Project Thunderでフラッシュを共有プール化
EMCはさらにProject Thunderとして、PCIeインターフェイスの高速性を維持しつつ複数のサーバ内蔵フラッシュストレージをプール化し、複数サーバから共有できる仕組みを開発中です。「Server Networked Flash」と説明されています。
これによって、プール化されたフラッシュストレージの統合管理を容易にするとともに、利用効率を高めることになります。
と同時に、サーバとストレージのインターフェイスを新たなステージへ持って行くことで市場のルールを変え、自社に有利な展開へ持って行こうとしているとも考えられます。
急成長するPCIeインターフェイスのフラッシュストレージ市場に遅れて参入してきたEMC。Fusion-ioとの立場をひっくり返すために、性能面での優位性、自社製品との統合、そしてサーバとのインターフェイスの変革と、周到に準備してきたところはさすが最大手、という感じがします。
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