ストレージが仮想アプライアンスになっていく。EMC World 2012
ストレージ最大手である米EMCが先週開催したイベントEMC Worldで、同社のプレジデント兼COO パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏は、同社の本業であるストレージ機器を仮想化してソフトウェアにしてしまおうという大胆なビジョンを語りました。
今後、x86サーバやハードディスクやフラッシュドライブのようなストレージデバイスの価格がさらに低下していけば、安価な汎用サーバがストレージ機器の脅威になっていくことは間違いありません。
ストレージ機器を仮想化してしまうという同社のビジョンは、そうした世の中の流れにストレージ専業ベンダーとして先手を打ったように見えます。
ゲルシンガー氏の発言のハイライトをまとめました。
VPLEXを仮想アプライアンスの最初の製品として提供する
昨年、このステージでストレージアレイの中で仮想マシンを実行するデモを見せた。これは強力なアイデアで、というのもストレージアレイの中にはx86サーバ、ファブリック、そしてストレージデバイスが入っている。いわばミニデータセンターだ。ここに仮想マシンを入れない理由がない。
EMCはこの機能を備えたストレージを製品化しようとしており、来年には最初の製品を出す予定で、2年でそのラインナップを広げていく。
しかしそこでお客様はまた問われるだろう。では同じように、仮想マシンの中にストレージをもってくる、ということはできないだろうか? と。
実際のところ、私たちはすでにそうした実験を行っている。
つまり私たちはEMCのストレージプラットフォーム上で仮想マシンを実行するだけでなく、プラットフォームそのものを仮想マシンとして実現しようともしているのだ。
その最初の製品はVPLEXになり、仮想アプライアンスとして提供される。
VPLEXはストレージのフェデレーション機能を提供
ゲルシンガー氏は、仮想マシンとして実現される最初の製品がVPLEXであることを明言し、今後さらにほかの製品にも適用されていくことを示唆しました。
VPLEXはデータセンター間でのデータ共有などを実現するためのストレージで、距離的に離れた場所にあるストレージをフェデレーションによって1つの仮想ストレージにする機能を備えています。通常のサーバに接続してデータを保存するためのストレージとは異なる目的で設計されたものです。
EMCとしては、いきなり一般的なストレージの仮想アプライアンスからではなく、その周辺にあるものから徐々に仮想化を進めていく意向ということなのでしょうか。
あわせて読みたい
AndroidをめぐるOracle対Google裁判を振り返る(前編)~ Oracleが主張した特許侵害は認められず
≪前の記事
EMCがフラッシュストレージへの全面的な取り組みを宣言、EMC World 2012