クラウド基盤のCloudStackは年内にOpenFlow対応へ。今後のロードマップとApacheライセンスに変更した理由は?
CloudStackがApacheライセンスに変更されたのは、GPLライセンスがパートナーなどに好まれなかったため。年内のバージョンアップでOpenFlowにも対応予定。シトリックスは引き続きOpenStackにも協力する。
シトリックスのクラウドに関するマーケティング責任者が来日、都内で開催された「第7回 CloudStackユーザー会」で、今後のロードマップと、先日発表されたCloudStackのApache Software Foundationへのコード寄贈などについて解説しました。
CloudStackはオープンソースで開発されているクラウド基盤。国内ではIDCフロンティアやNTTコミュニケーションズなどが採用しており、海外でもインドのTaTa CommunicationsやKorea Telecomなどが採用するなど、すでに多くの実績を持つソフトウェアです。
解説された内容をダイジェストで紹介します。
OpenFlow対応はミドクラ、Nicira、BigSwitchと共同で
シトリックス VP, Product Marketing Cloud Platform GroupのPeder Ulander氏。
CloudStackは9カ月毎にメジャーバージョンアップ、3カ月毎にマイナーバージョンアップを予定しており、このロードマップに変更はない。
すでにCloudStack 3.0(Acton)をリリースし、今後はBonita、Burbank、Campoのリリースを予定している。
来月リリース予定のBonitaは、VMwareとの統合機能が追加される。日本ではVMwareのインストールベースが大きいと聞いているため、これは重要な機能だと考えている。XenServer、XenDesktopとの統合にも力を入れている。そしてOpenFlowのテクニカルプレビュー、特にAPIを通じたほかのソフトウェアとの統合が加わる。
OpenFlow対応はミドクラ、Nicira、BigSwitchらと共同作業をしている。
7月に予定しているBurbankは、vApps、Governance、RBAC(Role Based Access Control)など、クラウドをきちんとしたガバナンス、モニタリングできる機能が追加される。
第4四半期に予定しているメジャーバージョンアップのCampoでは、Amazon EC2 APIとの互換性がとれるようになる。またvApps 2.0のフル機能をサポートする。
Campoではアーキテクチャのモジュラー化が進み、UIやネットワークやストレージのコントローラをプラグインできるようになるため、関連するデベロッパーとのつながりがさらに深くなるだろう。
CampoでOpenFlowにフル対応し、ミドクラやNiciraのOpenFlowコントローラをプラグインすることでCloudStackから仮想ネットワークが管理できるようになる。
Apacheへの寄贈は、クラウドの将来とライセンスを考えた結果
そしてCloudStackのソースコードをApache Software Foundationに寄贈するという大きな発表もした。
CloudStackはGPLのオープンソースだったが、Apacheライセンスになってからも製品における商業的なロードマップについての変更はない。
将来のクラウドを考えていく上で、Apache Software FoundationはHadoopやCassandraなど重要なプロジェクトが多く進行している。そうした組織と連係することは重要だと考えた。
また、GPLライセンスはエンタープライズのニーズに合致しないところがあった。パートナーが顧客のニーズなどでコードに変更を加えた場合、それもGPLにしなければならなかった。こうしたライセンスに対する要望も、Apacheライセンスに変更した大きな理由だ。
シトリックスとOpenStackの今後についての質問も寄せられている。
私たちにとってオープンソースは重要であり、これからもOpenStackにも貢献していきたい。具体的にはOpenStackで成熟した機能をCloudStackへ持って行きたい。Swift(分散オブジェクトストレージ)やQuantum(仮想ネットワーク管理)などをCloudStackへ移植していきたい。
シトリックスの究極のライバルはVMwareであり、VMwareに勝つことを意識しながらOpenStackを成熟させていき、CloudStackと並行して進化させていくことで、VMwareに勝てればと思っている。
あわせて読みたい
モバイル専用クラウドをAppceleratorが提供開始。新登場の「Titanium 2.0」と統合
≪前の記事
米クラウドベンダー「SoftLayer」は、Amazon、RackSpaceとどう戦っているか?