「C」はクラウドのC、オラクルがWebLogic 12cを発表。Java EE 6の普及へはずみがつくか
日本オラクルはWebアプリケーションサーバの「WebLogic Server 12c」を発表しました。最大の特徴は、Javaの最新版であるJava SE 7およびJava EE 6への対応と、Oracle Databaseとの連係の強化。
WebLogic Server 12cは、同社のクラウドサービスである「Oracle Public Cloud」の基盤としても使われるため、クラウド時代の製品であることを象徴する「c」が製品名の最後についています(日本オラクルの人は「ウェブロジック・トゥエルブシー」と呼んでいました)。
Java EE 6はひとつの完成系
Java EE 6は、これまでのJava EE/J2EEで指摘されてきた「重くて、コードが複雑で分かりにくくて、機能も足りない」といった課題の解決に注力したバージョンです。例えば複雑なコードの記述が必須で冗長だったEJBのコーディングはシンプルになり、サーブレットで必須だったXMLによる複雑な記述も原則不要など「Java EE 5で進めてきたEase of Developmentが、Java EE 6でさらに進化しました」(Fusion Middleware 事業統括本部 シニアマネージャ 新井庸介氏)。
それに加え、SpringフレームワークのDependency Injection(DI)機能や、O/RマッピングツールのHibernateなどの機能を取り込み、RESTfullサービスのためのJAX-RSを備えるなど、これまで機能の補完や追加に必要だったオープンソースや自社製のフレームワークもほとんど不要になっています。
インストールも劇的に簡単になっており、WebLogic Server 12cのインストールは168MBのZipファイルを展開するだけ。EJB、JMS、JCAコンテナ抜きの軽量な起動もサポートしています。
Java EEの解説本の著者であり、Javaで銀行内のシステム開発もしている三菱UFJインフォメーションテクノロジー ITプロデュース部 部長の斉藤賢哉氏は「Java EE 6はJava EEのひとつの完成系」と、生産性の高さや機能の充実を評価した発言をしています。
Java EE 6への移行は進むか
WebLogic Server以外の主なWebアプリケーションサーバ、IBMのWebSphere、レッドハットのJBoss、オープンソースのGlassFishなどはJava EE 6に対応したバージョンがすでに登場しています。今回WebLogic ServerがJava EE 6に対応したことで、国内の主要なWebアプリケーションサーバのJava EE 6対応が揃ったことになり、国内市場でJava EE 6が普及する環境が整いました。
Java EE 6の普及の最大の障害は、過去のバージョンのJavaで作られたシステムが数多く残っていること。過去に普及したStrutsや、独自のフレームワークに依存したJavaアプリケーションをJava EE 6ベースに移行することは容易ではないケースが多く、ほとんど最初から作り直しになるためなかなか新しいバージョンの採用が進まないという事情があります。
今年の4月には、東京で7年振りにJavaOneが開催される予定です。Java SE 7/Java EE 6の普及に向けて、今年のオラクルは非常にアクティブに活動するのではないかと予想されます。
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