PR:ニフティが放つ新サービス「ニフティクラウド C4SA」。簡単なのか? 速いのか? ローンチイベントで飛び出す本音
ニフティは7月31日、ニフティクラウドの新サービス「ニフティクラウド C4SA」のローンチイベントを、同社が運営するお台場の東京カルチャーカルチャーで開催しました。
ニフティクラウド C4SAは、ニフティクラウド上で簡単に開発環境や運用環境をセットできるサービス。Ruby、PHP、MySQLなどの複数の言語やフレームワークに対応するだけでなく、WordPressやPukiwikiなどのアプリケーションにも対応。Webブラウザからエディタやコマンドライン、コラボレーション開発機能なども提供します(関連記事:ニフティクラウドが、Ruby、PHP、MySQLなどの環境をクラウド上ですぐに展開できる「ニフティクラウド C4SA」を正式公開)。
国産クラウドが立ち上げた新しいサービスとはどのようなものなのか。この記事では、そのイベントの模様をご紹介しましょう。
「アイデアをカタチに」がコンセプト
最初に登壇した、ニフティ クラウドビジネス部 五月女雄一氏は、ニフティクラウド C4SAリリースの狙いを「ニフティクラウドでIaaSをやってきて、物理サーバの時代と比べればサーバを5分で提供できるようになって、ハードウェアやネットワークの準備が面倒なのは解決した。でもまだサーバの環境構築が面倒だよね、という人たちに向けてニフティクラウド C4SAを始めよう」と説明しました。
ニフティクラウド C4SAのサービスコンセプトは、一般のユーザーやデベロッパーが持っている「アイデアをカタチに」というもの。C4SAは「Cloud for Scalable Application」の略。
「どういった人にニフティクラウド C4SAを使ってほしいかというと、アプリケーションを勉強したいけれど環境構築の障壁を越えられない初心者プログラマーやデザイナー。アプリケーションの開発に没頭したいプログラマー。インフラのことはあまり考えずにサービス展開したい人など」(五月女氏)
ニフティクラウド C4SAには開発をより速く行うため、3つの大きなテーマがあったと五月女氏。
1つは思い立ったらすぐ開発ができるように、ログインの手間をできるだけ省くため、FacebookやTwitter、Githubのような誰もが持っているようなアカウントで簡単にログインできること。そして、Webブラウザがあればいつでもどこでも開発できるようにするため、一通りの機能をWebブラウザの中で実現すること。高性能、高信頼によって本気で使えるプラットフォームサービスであることなど。
開発後にも手間がかからず運用へ進めるような機能も備えており、「インフラのサイジングは不要。想定ユーザー数が何人だからサーバを何台用意しておこう、と考えるのではなく、まずモノを作ってもらって、スケールアウトなどの技術は私たちで隠蔽してしまって、ユーザーはそこを意識せずに使ってもらいたいなと」
「もう1つが、みんなで開発、みんなで運用。サービスを開発するのにひとりで黙々と作るというのは最近はないのかなと思っていて、エンジニアやデザイナーなどのチームで作っていくためのツールをどんどん出していきたいし、それをお小遣い程度の価格で使えるようにするというのを目指している」
部品を組み合わせればアプリができるようにしたい
続いて五月女氏はニフティクラウド C4SAの使い方を紹介。「まずコンテクストを選択します。これはアプリケーションを作成するためのベースとなるをコンテクストと呼んでいて、言語の実行環境やデータベース、フレームワークとか、そういったものをラッピングしたもの」
「それをキャンパス、CPUやメモリといったものがラッピングされたところに展開します。これだけでサーバの設定などに悩まされることはありません」
「デプロイの方法はいろいろありまして、ニフティクラウド C4SA内蔵のエディタでアプリケーションを作成できますし、WebDAVやGitなどのツールで、アプリケーションをキャンパスにデプロイまでできます。それをそのままサービスとして公開できます」
ニフティクラウド C4SAでは環境構築が手軽にできるだけでなく、開発や運用に便利な機能が追加されていると五月女氏。
「ニフティクラウド C4SAのキャンバスの画面では、サーバの各種ヘルス状況がグラフで示されるため、ユーザー自身でモニタ用のツールなどをセットする必要はありません」
「キャンバスに対してはWebDAVやGithubで接続できるため、デザイナーはWebDAVで、開発者はGithubと、使い慣れたツールでアクセス可能。Webブラウザから使えるコマンドラインツールも用意されており、本で書いてあるような内容がそのまま実行できて、ニフティクラウド C4SA専用のコマンドなどの使い方を覚える必要はほとんどありません」
「キャンパスに複数ユーザーを割り当てることもできて、コラボレーションによる開発も可能」
五月女氏は今後のニフティクラウド C4SAの展開として次のように話しました。
「よく使われる機能や開発が面倒な機能をどんどん部品化していきたい。例えばSNSやスマフォのアプリではログイン機能やユーザー管理機能は毎回必要になる機能だが、そういうのをいちいち作るのではなく、ユーザー同士で機能を融通できるようなものにしたい。部品を組み合わせてアプリが開発できるような環境で、アイデアが形になる敷居をぐっと下げたい」
「HaskellとかClojureとか、好きな言語を乗せられるようにしてほかのユーザーに布教すると、そういったプラットフォームになればいいなあと思っている」
「最終的に、すべてのクラウドプラットフォームの抽象化、サービスがクラウド化してツール化していくと、クリエイターの人たちがものを作りたいなと思ったときに、部品を組み合わせることで容易にアプリケーションができるような、アイデアをすぐにカタチにできることがニフティクラウド C4SAの目指すところです」
IaaSとPaaSで要求度合いの高いサービスにも対応できる
ステージには続いてco-meetingのCTOでパブリッククラウドエバンジェリストの吉田雄哉氏が登壇。「最近はキーボードを打った記憶がなくて、こうして話ばかりなので、CTOのTはTalkだと言われています(笑)」(吉田氏)
吉田氏はオンラインサービス「co-meeting」を提供する株式会社co-meetingの取締役CTOであり、同時にパブリッククラウドエバンジェリストの顔も持ちます。
吉田氏は、ニフティクラウド上で自社サービスのco-meetingを運用中。「co-meetingは、Google Waveがオープンソース化されApache Waveとなったものをバグフィックスしてメモリを使わないようにシェイプして、エンジンに使っているテキストベースのコラボレーションツール。同時に30人まで入ることができて、一文字ごとに最大30人に同時に文字が飛ぶため、ダウンストリームの数がすごい。ネットワークやCPUが強くないとうまく動かない。ニフティクラウドはそこが強い」(吉田氏)
「いい感じに(サービスが)バズったときに、ピークに耐えられる構造にしなくてはいけなくて、そう考えるとそれなりのものになってしまう。でも僕らは実質2人で回しているような状況。複雑なサービス形態を、少ない人的リソースでやらなければいけない」
「人的なリソースの足りないところはIaaS、PaaSを使うことでそこの人員を借りているようなものなので、僕らのような会社でもそれなりのサービスが組める。それがクラウドのいいところ。」
「ニフティクラウド C4SAではどこまでできるかまだ試していないけれど、MongoDBやRedisに対応していないので、ぜひこれは早く対応してほしい」
「でも、もともとニフティクラウドのIaaSを借りているので親和性は高いと期待している。また、IaaSと、ニフティクラウド C4SAのPaaSの組み合わせで使えて、要求度合いの高いサービスにも対応できるので、国産でここまでできているクラウドはない」
でも疑問がある、と吉田氏。
「アイデアをカタチに、というのはどこのPaaSでもやっている。アイデアをビジネスにしないとダメ」
「アイデアからプロトタイプにして、広報して、そこから収益を得て、フィードバックを得るもの。アイデアをカタチには、ここだけしかサポートしてない。狭すぎ。もし本当にエンジニアのことを思うならビジネスを支える覚悟までもってほしい」
「ここにいる僕らは、社会的に価値あるモノが作れなければだめで、形にしたアイデアをビジネスとして支える覚悟も持ってほしい」と、ユーザーの立場から注文を付けました。
そして会場に向かっては「早く開発できても、誰も見向きしないものだったら公開しても意味はない。社会的に価値あるものをあなたが創ることでチャンスが生まれて、そのおかげでIaaSやPaaSが生きる。」と呼びかけます。
「ニフティクラウドの中の人には、もっと高見を目指してほしいし、会場やUstreamを見ている人たちには、みんなが使えるものを作ってきっちり稼ぎましょう」
デイリーポータルZの林氏、初めてのPHPにチャレンジ
イベント第二部はゲストによるトーク。
まず、デイリーポータルZの林雄司氏が、ニフティクラウド C4SAで簡単に環境を構築できる実例を示すために「初心者がニフティクラウド C4SAで作る、かんたん神アプリ」というテーマで登場。林氏はこのためにPHPなどを勉強したとのこと。
林氏が披露した1つ目のアプリは、ランプの魔神が質問に答えてくれる「ハヤシネーター」(ランプの魔神が答えてくれる「アキネーター」のパロディ)
「この写真を撮った時点でずいぶん満足してしまったが(笑)、ハヤシネーターは1つの質問だけで答えてくれる。そのために質問を限定して『じゃあ猫型ロボットを思い浮かべてみて?』だけにした」(会場笑)
結局使用言語はHTMLだけ、ハイパーリンクで済んでしまったとのことで、制作時間は5時間。
もう1つは、有名人があなたのツイートを絶賛しながらリツイートしてくれる(ように見える)「絶賛タイムライン」。
「孫さんが『やりましょう』って言ったり、 篠田麻里子が『ファボりました』ってつぶやいてくれます。トレンドも自分の話題ばかりに」(会場爆笑)(下記の画面は、新野のTwitterIDで試した例)
「これはPHPで書きまして、OAuthで認証を通してタイムラインをとってきて、あいだにRTを挟んでるだけという。PHPを書いたのは初めてなんですが、一日で出来まして。ニフティクラウド C4SAの売りはここなんですよね、よく分かってませんが。以上です!」
林氏のプレゼンは会場の爆笑を誘っていました。
開発、検証、改良のイテレーションを速く回すこと
林氏に続いて登場したのは、株式会社ヴェッテルの代表取締役 山下英孝氏。同社は「PicoTube」は、ブラウザ上でオンラインでDJパーティができるサービスを開発中。DJ役の人がYouTubeの動画を流して、観客の人が一緒に楽しめるというもの。
「いまはアイデアをカタチにするのに最高の時代だと思う。それは、クラウド基盤が充実していることや、そしてスマートフォンのアプリが全盛なので処理をスマートフォンに持たせてサーバにあまり負荷がからないから」
「グーグルでさえ、どのサービスがヒットするか分からない。だから開発、検証、改良のイテレーションを速いスピードでやるのがなにより大事かなと思う」
「同じアイデアを思いつく人は世の中にたくさんいるが、実際にやるのはほんのひとにぎりの人なので、それを実行するのが大切。だからニフティクラウド C4SAを使ってアイデアをカタチにしましょう」と会場に呼びかけました。
ニフティクラウド C4SAはサービスで使うのに十分速い
ゲスト3人目は「ニフティクラウド C4SAのベンチマークを取ってみた」と題して株式会社エクストーン 仲山昌宏氏が登壇。
「PHPとRuby on Railsのアプリケーションにターゲットを絞ってベンチマークをとってみた。abコマンドを使って、アプリケーションはRuby on Railsのqpdesk、PHPとしてはWordpress」
上記の方法で、ニフティクラウド C4SAを某PaaS、某VPSサーバと比較してみたとのこと。
「気になる性能、まずはRailsで。一番下がニフティクラウド C4SAで、これは某PaaSの無料プランよりも速くて、有料プランと同じくらい、VPSとは同じくらい」
「PHPの方はどんな感じかというと、VPSよりも1.5倍くらい出ています。基本はチューニングをしない方針だったけれど、VPSではAPCという高速化のモジュールを入れての比較。かなり(ニフティクラウド C4SAは)いい性能ではないかと」
まとめると、ニフティクラウド C4SAは十分に速いとのこと。
「十分にサービスで使ったり、自分で何かを作るのに使えるし、いろんなチューニングがされたコンテキストが揃ってくると、自分でチューニングするより楽にできる」との結論でした。
このほかライトニングトークではさらに5人が登壇。盛り上がりつつイベントはお開きになりました。
イベントのアーカイブほか
イベントの様子はUstreamの録画で見ることができます。
当日のTwitterのまとめ「ニフティクラウド C4SA Meetup! #niftycloudc4sa」
以下は当日使われたスライドです。
(本記事はニフティ株式会社提供のタイアップ記事です)