モバイル向けクラウド「BaaS」、日本発のappiariesが正式公開。ストレージ20MBまでは無料
モバイルデバイスに特化したBaaS(Backend as a Service)型クラウドは、米国で「Parse」が3月に正式版となり、「Cocoafish」はAppceleratorに買収され、また9月にはWindows Azureを簡単にBaaS化する「Mobile Services」機能の追加を発表するなど活発な動きが見られます。
BaaSは一般に、PCよりも普及が見込まれるモバイルデバイス向けのアプリケーションのためにREST API経由で利用できるユーザー管理やデータストアなどを備えており、モバイルアプリケーションを開発する際にサーバ側のコーディングを不要にしてくれる利点を備えています。
日本発のappiariesが正式公開
国内企業のピーシーフェーズは、BaaS型クラウドサービスの「appiaries」(アピアリーズ)の正式公開を発表しました。主な機能は以下です。
ユーザー認証
OAuth 2.0プロバイダーとして、FacebookやGoogle Apps経由でのユーザー認証、管理が可能(追記:FacebookやGoogle Appsなど他サービスとの連係は今後実装予定とのこと)。
データベース
モバイルアプリケーションからJSON形式でバックエンドのデータベースを利用可能。JSON形式が扱えれば、開発言語やOSは自由に選択可能。
ファイル管理
モバイルデバイスで撮影した写真などのファイルもバックエンドへアップロードでき、ほかのユーザーとシェアすることが可能。
ジオロケーション(オプション)
データに緯度経度情報を付加し、位置情報で検索可能。
また今後、プッシュ通知機能などが追加される予定とのこと。
appiariesは体験版として基本ストレージ20MBまでは無料で利用可能。体験版でも使える機能やAPIリクエスト数や転送量に制限はないため、モバイルアプリケーションの開発環境としての試用には十分でしょう。
ストレージが4GBまでの「Basicプラン」は月額2万6775円からで、24時間365日のシステム監視が行われます。
国内でもBaaSのニーズは増えるだろう
Publickeyではこれまで、BaaSの動向について以下のように伝えてきました。
- モバイル向けの新クラウド、BaaS(Backend as a Service)とは何か。「Parse」が正式サービス開始
- モバイル専用クラウドをAppceleratorが提供開始。新登場の「Titanium 2.0」と統合
- マイクロソフト、モバイル対応のBaaSクラウドへ参入。Windows AzureにMobile Servicesを追加
- モバイル専用クラウドの「Parse」、サーバサイドJavaScriptを実現。BaaSが大きく前進
日本国内のベンダが本格的なBaaSを提供するのはおそらくappiariesが初めてとなるはず。モバイルアプリケーションの開発者は、フロントエンドの開発は得意でもサーバーサイドの開発は苦手という方が多く、BaaSはそうした開発者のニーズに合致したサービスと言えます。
国内のサービスが登場したことで日本語での情報提供や情報交換の活発化も期待され、これから国内でのBaaSのニーズと事例は増えていくことになるでしょう。
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