Amazonクラウド、オンプレミスを超えたデータベース性能の向上機能「Provisioned IOPS for Amazon RDS」開始。パラメータでストレージ性能を設定
MySQLやOracleなどデータベースの性能をもっとも左右するのが、ストレージ性能です。いかに高い性能のストレージを用意するかは、データベース性能に直結します。
Amazonクラウドが発表した「Provisioned IOPS for Amazon RDS」は、設定ひとつでデータベース専用に高速ストレージを用意できる新機能。データベース管理者にとって飛びつきたくなる機能です。
Amazonクラウドはブログの中で次のようなユーザーの声を紹介しています。
過去には、私達は、時間とコストの非常にかかるコードベースのパフォーマンスチューニングに何百日も投資してきましたが、Amazon RDS プロビジョンド IOPSを使ったところ、たった1日でそれらのパフォーマンスチューニングの結果を上回ることができました。
具体的には、Amazon RDSのストレージ性能を最小1000IOPSから最大1万IOPSまで任意の値に設定可能。Amazonクラウドに詳しい匿名の技術者に聞いたところ、最小値の1000IOPSでも、通常のAmazon EBSで構築したディスクよりも高速だと考えていいだろう、とのこと。また、性能をある程度保証するからには、ディスクの高速化だけでなく、サーバとストレージ間のネットワーク帯域も性能に応じて占有するような工夫がされているはずだと指摘しています。
Amazon RDS Provisioned IOPSの費用は、1GBあたり月額0.1ドルに加え、100万リクエストあたり0.1ドルの従量課金制。ストレージ容量は5GBから1TBの範囲で選択できます。
データベースの構築パターンを覆す
Provisioned IOPS for Amazon RDSは、クラウドにおけるデータベース運用で大きな課題とされていた共有ストレージ性能を解決する一方で、オンプレミスの課題だったストレージ性能に対する柔軟性のなさ(オンプレミスでストレージ性能を向上させようとすると、ほぼストレージのリプレースになってしまう)に対するソリューションを、クラウドで実現してしまいました。
これまで一般的な構築パターンとして「データベースだけは性能を確保する必要があるため、クラウドに置かず専有サーバを別に借りるか、オンプレミスで運用する」と考えられていました。Provisioned IOPS for Amazon RDSはその構築パターンを大きく覆すサービスとなるだけでなく、データベースも従量課金制でストレージ性能をスケーラブルにしていけるという、小さく初めて大きく育てられるコストメリットをオンプレミスより柔軟に実現することになります。
最大1万IOPSまで設定可能
Amazon RDS Provisioned IOPSのストレージ性能は、リレーショナルデータベース機能を提供する「Amazon RDS」の設定画面で、最小1000IOPSから最大1万IOPSの範囲で指定できます。データベースはMySQLとOracle、SQL Serverが選択可能で、SQL Serverの場合のみ最大値が7000IOPSとなります。以下はAWS発表の記事から設定画面を引用し、分かりやすく加工したものです。
現在は新規インスタンス設定時に利用可能となりますが、近い将来には既存のAmazon RDSインスタンスについても利用可能にするとのことです。
Amazon RDS Provisioned IOPSは、米国東リージョン、米国西リージョン、欧州西リージョンで利用可能。その他のリージョンも順次対応予定です。
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