Amazonクラウドが企業向けクラウドストレージ「AWS Storage Gateway」を発表。事実上の容量無限、そのままディザスタリカバリ
Amazon Web Servicesは、企業がクラウドストレージを利用して簡単にシステムのバックアップやディザスタリカバリを実現できる「AWS Storage Gateway」を発表しました。
AWS Storage Gatewayでは、クラウドストレージと連係するためのソフトウェアが提供されます(VMware ESXiに対応した仮想マシンイメージ。今後はほかのハイパーバイザにも対応予定)。これをオンプレミスでストレージサーバとして運用すると、そこに保存したデータがAmazonクラウドのストレージへと定期的に転送されます。
ストレージサーバへはiSCSIでアクセスできるため、通常のストレージサーバとまったく同様に見えますが、このストレージサーバにデータを保存するだけで、自動的にクラウドへと安全なバックアップが行われるのです(ストレージサーバはローカルディスクを備えており、これはローカルストレージであると同時に、クラウドストレージへの転送キューとして使われます)。AWS Storage Gatewayによって、企業は事実上無限に容量のあるクラウドのストレージに対して、非常に簡単にバックアップやディザスタリカバリのシステムを構築できることになります。
クラウドへのデータ転送はSSLが用いられ、またデータ自体もAES-256を用いて暗号化されてクラウドに保存されます。データは転送前に圧縮されます。
クラウドをディザスタリカバリ用データセンターとして使える
AWS Storage Gatewayのデータの転送先は、東京データセンターをはじめ世界中のAmazonクラウドのデータセンターを選択可能。
クラウドに保存したデータをリカバリする方法は2種類あります。1つは、データをバックアップしたときとは逆に、クラウドからオンプレミスのAWS Storage Gatewayへとデータを戻す方法。
もう1つは、Amazonクラウド内でサーバを立ち上げ、そのサーバからクラウド内にバックアップしたデータへとアクセスする方法。この場合には、バックアップデータを、アクセス可能な仮想ディスクへと変換する手順が入ります。バックアップデータとしてオンプレミスで実行していた仮想マシンイメージをクラウドに転送しておけば、そのままクラウド内で仮想マシンを起動できます。
特に後者の方法を用いると、たとえオンプレミスの環境がすべて失われてもクラウド内でアプリケーションの実行環境まで復元できるため、企業はディザスタリカバリ用のデータセンターとしてAmazonクラウドを利用することが容易になるという利点があります。
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