Amazon、クラウドアプリのマーケットプレイス「AWS Marketplace」開始。数クリックでクラウドアプリが利用開始
クラウドで使いたいアプリケーションがあれば、マーケットプレイス画面で検索してクリックすれば導入でき、あとは毎月クラウドの利用料金とまとめて課金されるというサービスをAmazonクラウドが「AWS Marketplace」として開始しました。
AWS Marketplaceの詳しい機能はAWSのエバンジェリスト 玉川憲氏が日本語で詳しく解説しているので、この記事ではそこから読み取れる2つの特徴について紹介したいと思います。
自分のインスタンスとしてアプリケーションが起動
AWS Marketplaceの特徴の1つ目は、クラウドアプリケーションがユーザー自身のインスタンスとして起動することです。
一般のクラウドアプリケーション、例えばグーグルのGoogle Appsやセールスフォース・ドットコムのSales Cloudなどのクラウドアプリケーションを購入すると、すべての管理はクラウド上でアプリケーションのプロバイダがやってくれて、ユーザーは何も気にせずに利用することができます。
しかしAWS Marketplaceは、アプリケーションを購入すると自分のインスタンスにインストールされて起動されます。
アプリケーションの選択から起動までは数クリックのシンプルな手順で済み、それがAWS Marketplaceが提供してくれる最大の利便性といえます。しかし自分のインスタンスとして起動するということは、インスタンスのサイズやリージョンを設定したり、起動後の管理についてはユーザー自身で行わなくてはならないということです。
AWS Marketplaceは主に、エンドユーザーのためのマーケットプレイスというよりも、Amazonクラウドを使ってエンドユーザーにサービスを提供するエンジニアのための仕組みだといえそうです。
課金はまとめてくれる
もう1つの特徴は、アプリケーションの利用料金はAmazonクラウドがクラウドの利用料金と一本化してユーザーに課金してくれるという点です。
クラウドのアプリケーションベンダにとって、顧客と取引口座を開設したり課金の仕組みを自社で持つことはそれなりのハードルであり、クラウド上のビジネスを難しくしている要因のひとつでもありました。それをAmazonクラウドが代行してくれることは、アプリケーションベンダにとってクラウドビジネスを拡大する助けになるでしょう。
マーケットプレイスそのものがクラウドの魅力になる
マーケットプレイスは、プラットフォームの魅力を高めるための大きな武器です。
例えば、アップルがiOS対応のマーケットプレイス「AppStore」を開設したことで、開発者は世界中の利用者を相手にソフトウェアを販売することが可能になりました。それが多くの開発者をiOSに引き寄せることとなり、結果たくさんのiOS対応アプリケーションが登場しました。
たくさんのアプリケーションはユーザーにとってのiOSの魅力を高めることになるため、ユーザーが増え、それが開発者にとってさらにプラットフォームの魅力を高めることになります。マーケットプレイスを軸にした好循環です。
これはクラウドでも同じことです。開発者にとって魅力的なプラットフォームであれば、数多くのアプリケーションがそこで生まれるようになり、それがユーザーを引きつけ、ユーザーの増加が開発者をさらに呼び寄せる、という好循環になります。マーケットプレイスはこの好循環を作り出すための重要な要素です。
現在のところ、AWS Marketplaceは米国に拠点のある会社しか製品を販売できないとのことですが、いずれ日本の企業にも門戸が開放されることになるのではないでしょうか。
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