クラウド導入の壁は相変わらず「セキュリティ」がトップ。国内の2つのアンケート結果から
どれだけの企業がすでにパブリッククラウドを導入しているか、もしくは計画しているか。そしてパブリッククラウドの導入で懸念することとは何か。サイボウズとITmediaのTechTargetが相次いでアンケート結果を発表しました。それぞれの結果を見てみることにしましょう。
TechTargetは2月22日付けの記事「パブリッククラウド調査結果、セキュリティが不安な一方で3割は導入に前向き」で、2012年1月24日から2月9日にかけて行ったアンケート結果を記事にしています。Webによるアンケートで、有効回答数は312件。主にPaaS/IaaSを想定した質問になっています。
サイボウズは昨年12月に行った同社主催の「経営戦略×クラウド」シンポジウム来場者に対するアンケート結果を公開しています。有効回答数は222件。こちらは主にサイボウズのイベントに集まった人が対象のため、クラウドとしてSaaS/PaaSが念頭にあると考えられます。
クラウドに前向きな割合は?
両者の質問事項は似通っているため、結果を並べて見ることにしましょう。この記事のグラフは、両者の結果を元に独自に作成したものです。
まず、クラウドを導入しているか? 今後の予定はあるか? について、左がTechTargetのアンケート結果、右がサイボウズのアンケート結果です。
TechTargetの結果では、「導入済み(15%)」と「導入予定(13%)」を合わせたクラウドに前向きな割合は28%。一方サイボウズの結果では、「一部利用している(27%)」、「1~2年以内(8%)」と「調査中36%)」を合わせると、71%もの回答者がクラウドに前向きです。
しかしサイボウズの方は、クラウド関連のシンポジウム来場者に対するアンケートだったためクラウドに前向きなのは当然で、この数字には相当バイアスがかかっていると見るべきです。TechTargetの結果の方が一般の割合に近いと考えられます。
クラウド導入の懸念は?
クラウド導入に関する懸念を質問した結果、どちらの調査でもトップになったのが「セキュリティ」でした。上がTechTargetの結果、下がサイボウズの結果です。
TechTargetの結果では、セキュリティに続く2位も不正アクセスとセキュリティ関連、3位も4位もセキュリティ関連の項目といえます。それに続いて、運用状況、コストとなっています。
サイボウズの結果を見ると、セキュリティに続く2位がコスト、3位が社内システムとの連係。
両者の違いは、IaaS/PaaSを想定するか、PaaS/SaaSを想定するかの違いではないかと思われます。IaaS/PaaSはランニングコストが比較的安い代わりに、セキュリティの細かい部分の懸念と運用の手間が懸念となり、PaaS/SaaSはセキュリティも運用もおまかせできる代わりにコストが心配。こう読み取れないでしょうか。
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