物理サーバを最短10分で調達。「さくらの専用サーバ」石狩データセンターで開始
申し込んだらすぐにサーバが利用できる。クラウドでのサーバ調達では当たり前のサービスになっていますが、さくらインターネットは物理サーバを占有できる「さくらの専用サーバ」で、申し込みから最短10分でOSのインストールなどを行い利用可能になるサービスを2月29日から開始すると発表しました。
提供された物理サーバへは、コントロールパネルからOSのインストールや再起動などが可能。サーバのコンソールへもリモートでアクセスできます。
さくらインターネットは、これまでも同名の「さくらの専用サーバ」サービスを提供していましたが、2月29日の新規申し込み分から新しい内容へと切り替わります。
デルとHPのサーバを利用、早ければ5分ほどで提供
「さくらの専用サーバ」では、最短10分で提供される「エクスプレスシリーズ」と、構成を自由に変更できる「フレックスシリーズ」の2つのシリーズが提供されます。
エクスプレスシリーズでは、サーバにヒューレット・パッカードの「HP Proliant DL2000」を用い、あらかじめ用意された構成を選択することで迅速な提供を可能にしています。CPUはXeon E5620、2.4GHzの4コアから8コア、メモリは標準16GBから最大64GB。ストレージはSATA、SASもしくはSSDが選択可能。
さくらインターネットの発表資料には「最速10分で利用可能」とありますが、早ければ5分ほど、遅くとも1時間以内には提供されるとのことです。価格は初期費用が7万9800円から、月額9800円から。
フレックスシリーズではデルの「DELL R510」をベースに、最大12コアのCPUと最大12台のストレージや、フラッシュストレージのioDriveなど、構成を柔軟に変更できます。こちらは申し込みから提供まで5営業日、機材の在庫が切れてしまった場合には15営業日を予定(ただし在庫はつねに十分に用意する予定とのこと)。
価格は初期費用19万9800円、月額2万7675円から。
このサービスで想定される顧客は、エクスプレスシリーズでは迅速なサーバ調達が重視されるWeb系サービスを提供されている企業、ソーシャルアプリケーションを提供している企業など。フレックスシリーズでは、高性能なサーバを柔軟な構成で必要とするオンラインサービス系企業やエンタープライズ用途などとなるでしょう。
石狩データセンター稼働が新たなサービスにつながっている
さくらの専用サーバは、同社のクラウドサービス「さくらのクラウド」と同様に石狩データセンターで提供されるため、同社は「さくらのクラウド」と「さくらの専用サーバ」のネットワークをシームレスに接続する「サービス間L2接続」を4月もしくは5月に提供予定としています。
これにより、専用サーバで通常の処理を行いつつ、急激な処理要求の増加にはクラウドでより柔軟に対応するといった、両者の利点を組み合わせた構成が可能になります。
また、エクスプレスシリーズが迅速に提供される仕組みは、あらかじめキッティング済みのサーバがラックに設置済みで、提供開始までほとんど手間がかからないためです。しかし土地代が高く面積効率を重視する都市型のデータセンターでは、まだ使われていない大量のサーバを在庫としてラックに並べておくことはこれまで難しかったと想像できます。
豊富な床面積を持つ石狩データセンターが稼働を開始したことが、迅速な物理サーバを提供する新たなサービスにつながったはずです。