Yahoo! JAPANにおけるアジャイル開発、スクラムへの取組み(後編)

2011年10月24日

先週の水曜日(10月19日)に、アジャイル開発手法のスクラムを学ぶイベント「Scrum Gathering Tokyo 2011」が都内で開催されました。

スクラムを実際に導入した事例として紹介されたのが「Yahoo! JAPANにおけるアジャイル開発、スクラムへの取組み ~組織と現場から~」のセッションで紹介されたヤフー株式会社の例。

組織としてスクラム導入にどう取り組んだかを紹介した前編に続き、後編では現場の取り組みが紹介されました(本記事は「Yahoo! JAPANにおけるアジャイル開発、スクラムへの取組み(前編)」の続きです。

スクラムの導入に現場はどう取り組んだか?

ヤフー株式会社 R&D統括本部フロントエンド開発1本部開発1部開発1 立木貴洋氏。

続いて、スクラムの導入について、現場でどう取り組んだか、という話です。私は2007年入社の5年目です。今回スクラムマスターを初めて担当したので、その事例について説明します。

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今回スクラムで開発しているのは、iPad版のYahoo!トップページです。Yahoo!トピックのタイムライン化などの機能があります(注:このiPad用トップページはもうすぐ公開のようです)。

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導入のきっかけは、My Yahoo!トップページなどを担当するチームで、iPad版を開発するに当たってまだコミュニケーションがうまくとれていなかったことです。そこに隣のチームがスクラムを導入していてコミュニケーションがうまくとれているなあと感じたので、導入してみました。

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まず講習を受けて、そのあとで計画ミーティングや振り返りを、(チーム外からきた)スクラムマスターが回して、それを引き継いでいきました。

チーム構成は、左の元デザイナーと企画の二人がプロダクトオーナーで、開発チームが5名。私がスクラムマスターの役をやっています。また、開発チーム外のマークアップエンジニア2名がいますが、ミーティングには一緒に出てもらい、プロダクトの状況などを一緒に把握してもらっています。

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スクラムで発生した問題と対策

スクラムを導入した開発で発生した問題をいくつか紹介します。

まず、ストーリーをこなすためのタスクの出し忘れが頻発した、ということがありました。もう半年くらいやっている中でこれを完全になくすのは難しいと感じていますが、タスク作成時にチェックリストを作ったことで改善しています。

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また、タスクをとったけど着手できない、タスクはこなしたが実際には完了しなかった、ということがありました。

どういうことかというと、「タスクC」を作るためには「タスクA」ができていないと難しいと、気が付いてはいても、デイリーミーティングでそれを忘れていて「タスクC」をとってしまう、ということが発生してしまいます。

これを改善するために、スプリント計画ミーティングのときにプロダクトオーナーが優先順位の案を出し、そのあとデイリーミーティング全員で優先順位を検討しています。これでずいぶん減りました。

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スクラムの期間内にストーリーが完了していない、ということもあります。これはスクラム期間の2週間の終わりになって、できました、というのが集中してレビューが追いつかずに完了しなかったためです。

改善策を話し合った結果、タスクボードをカレンダー風にして、着手日からレビューまでを計画し、レビューが期間の後ろで重なるのを計画的に回避できるようにしたことでだいぶ解決しました。

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コミュニケーションは良くなった

スクラムを実践して思ったこと。コミュニケーションの問題は、スクラム開発をしたことでミーティングが多くなったのでとても良くなったと思います。

実際に最初の方では意見を言わなかった人が、ユーザー体験への意見などを言うようになって議論が活発になりました。

また、「見える化」の大事さが理解されました。どんなバグがあるか、なども全部付箋紙に書いて張り出していて、そうすることでプロジェクトで誰が何をしていて、どんなバグを解決したか、などが分かるようになりました。

問題、改善策の提示、実践、確認のサイクルがとても大事だと感じます。問題に対して実践したか、確認したか、ちゃんとできていることが把握できて、対策が十分に機能していることが確認できる。チームにいちばん適した対策をとること、これがスクラム開発にいちばん大事なことではないかと思います。

いまはiPad版の開発が最優先なので、あまり試行錯誤はしていませんが、今後は過去のデータを振り返るときに紙とかアナログだとどこにしまったかわかりにくいので、デジタルで環境などを整えていきたいと思っています。

ここからベロシティをあげるには個々人のスキル向上が大事だと思うので、ペアプログラミングやテスト駆動などの手法を取り入れていきたい。これはチーム全体で話し合って決めたいと思います。

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Junichi Niino(jniino)
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