VMwareの新クラウドインフラ「vSphere 5」は、「モンスターのような仮想マシン」を実現
VMwareは先週、vSphere 5をはじめとするクラウド基盤を構成するソフトウェア群の新バージョンを発表しました。
新バージョンが主に目指したのは、データベースやERPなどを含むクリティカルな業務アプリケーションの基盤としても仮想化サーバが利用されること。そのために仮想マシンの性能向上や仮想化インフラの信頼性の強化、インフラの自動化による大規模運用の実現などが推し進められています。
米VMwareが行った発表会のスライド資料から、新バージョンの主な機能を見ていきましょう。
性能の拡大でモンスター仮想マシンも実現可能に
今回新しく登場したのは、クラウド基盤を構成する一連のソフトウェアの中の以下の製品群です。
仮想化の利用範囲を広げていくための課題が、性能の拡大。vSphere 5では前バージョンよりも4倍以上の性能拡大を果たし、1Tバイトメモリと32仮想CPUまでサポート。
これにより「モンスターのように巨大な仮想マシンも作ることができ、高い性能を要求するクリティカルなアプリケーションも実行可能になる」とのこと。
vSphere 5ではストレージ関連の機能強化が目立ちます。「Profile-Driven Storage」では、ファイバーチャネルやSCSIなど性能や機能ごとにストレージを共有プールとして管理することができます。下の図では「Tier1」「Tier2」「Tier3」と分かれていて、アプリケーションが要求するストレージ性能に合わせて割り当てが可能に。
さらに、「Storage DRS」では、仮想マシンがVMotionで物理サーバを移動するように、データを共有物理ストレージ間を移動させることで、ストレージの容量や負荷を適正化できます。
「vSphere Storage Appliance」は新機能を提供するソフトウェアアプライアンス。インストールした物理サーバのディスクをまとめて、仮想的な共有ストレージを作り上げます。これにより、SANやiSCSIといった共有ストレージを使わなくともVMotionが可能になるため、システムコストを抑えられます。中堅中小規模向けのソフトウェアという位置づけです。このvSphere Storage Applianceのユニークな機能は、明日の記事でさらに詳しく紹介する予定です。
ネットワークとストレージI/Oの管理機能により、トラフィックの多い「うるさい隣人」が隣の仮想マシンにいたとしても、トラフィックを優先的に確保する機能も搭載。性能の保証がより確実に。
vSphereの導入をいちいちマニュアル作業で行わなければならなかった点を改良し、ネットワークブートから自動的な導入が可能に。20時間かかっていた作業も10分で済むとのこと。
「vCenter Site Recovery Manager 5」では、vSphereのレベルでレプリケーションを可能に。ディザスタリカバリに対応し、フェイルオーバーと復旧時のフェイルバックを実現。
vSphere 5と一連のソフトウェア群は今年の第3四半期に登場予定です。
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