VMwareのvCloudデータセンターを首都圏に設置、ソフトバンクテレコムとVMwareが提携
VMwareとソフトバンクテレコムは今日2月22日、両社が提携し、ソフトバンクテレコムがVMwareのパートナー制度「vCloud」の認定パートナーとしてvCloudデータセンターを、同社の梶が谷(川崎市高津区)にあるデータセンター内に設置すると発表しました。
vCloudデータセンターは企業向けに普及しているVMwareの仮想化ソフトウェアをベースとしているため、企業内のデータセンターとvCloudデータセンターがシームレスに連係できるのが最大の特徴。ソフトバンクテレコムの宮内謙 代表取締役副社長兼COOは会見で「エンタープライズレベル、ミッションクリティカルなシステムを(vCloudで)俊敏に作ることができる」と、企業向けのクラウド市場への意欲を明らかにしています。
ソフトバンクテレコムは3月から梶が谷のデータセンターで、佐川急便の情報子会社であるSGシステムや野村證券など3社とvCloudの検証作業を開始し、7月には正式サービスとして公開する予定。vCloudデータセンターの規模、料金などは発表されていません。
オンプレミスとパブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドを実現
vCloudはVMwareが昨年9月の「VMworld 2010」で発表したパートナー認定制度です。パブリッククラウド上に仮想化インフラの「vSphere」、管理ツールの「vCloud Director」、セキュリティソフトの「vShield」を採用したクラウド事業者に対してパートナーとしてVMwareが認定を行います。ソフトバンクテレコムはワールドワイドで7番目のパートナーです。
vSphereやvCloud DirectorなどVMwareの製品は、企業がオンプレミスのデータセンターの仮想化インフラとして採用しているケースが多く、vCloudデータセンターとして構築されたパブリッククラウドはそれに対して同じソフトウェア構成をとっているためシームレスに利用できます。例えば、普段はオンプレミスのデータセンターで行っている処理を負荷が高まる月末だけvCloudデータセンターに分散したり、国内のシステムを海外のvCloudデータセンターへ展開することでグローバル展開が容易になる、といった利点を得ることができます。いわゆるハイブリッドクラウドの実現です。
vCloudはVMwareのクラウド戦略にとって2つの意味がある
マイクロソフトやグーグル、Amazon、セールスフォース・ドットコムなど多くのクラウドベンダが自社でデータセンターを運営しクラウドを展開しているのに対して、VMwareはソフトウェアをデータセンター事業者に提供することで自社のクラウド戦略を推進するという立場をとっています。
つまりVMwareにとってvCloudパートナーを増やすことは、既存のパブリッククラウドのベンダに対抗する手段であると同時に、すでにオンプレミスでVMwareの製品群を利用している顧客に対してスムーズなパブリッククラウドへのロードマップを示すという、2つの意味を持っています。
会見で同社CEOのポール・マリッツ氏は「多くの顧客がまだクラウドへの移行に恐れを感じており、パートナーと一緒に信頼を築いていかなければならない」と発言、ヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏は「日本の中ではソフトバンクテレコムさんと最初に提携したが、1社で終わるつもりはない」と、今後さらにvCloudデータセンターを国内展開していくことを表明しています。