[速報]VMwareがPaaSの提供開始、Java、Rails、Node.jsなどサポート。オープンソースでも公開
VMwareはPaaS(Platform as a Service)に関する戦略と、一連のサービスやソフトウェアなどを発表しました。
これまで同社は仮想化から発展したvSphere製品群を中心にIaaS(Infrastructure as a Service)を提供するクラウドベンダでした。今回の発表で、Windows AzureやGoogle App Engineなどと競合するPaaS市場への本格参入を宣言したことになります。
主な発表内容は2つ。同社自身が運営し提供するPaaSの「CloudFoundry.com」の開始と、PaaSを構成するソフトウェア「Cloud Foundry」をオープンソースとして公開するWebサイト「CloudFoundry.org」の公開です。
PaaSでJava、Ruby、Node.js、MySQLなどをサポート
CloudFoundry.comは、VMwareが運営するPaaS。同社はオープンなテクノロジをサポートする「Open PaaS」を掲げており、既存のPaaSによるロックインに疑問を投げかけています。CloudFoundry.comではJavaとSpring Framework、Grails、RubyとRailsやSinatra、そしてNode.jsなど、幅広い言語とフレームワークをサポート。バックエンドのデータベースもMySQL、MongoDB、Redisなどをサポートし、今後も対応を広げていくとしています。
CloudFoundry.comはβ版としての公開が始まっており、無料でサインナップ可能です。
PaaSであるCloudFoundry.comを構成するソフトウェア「Cloud Foundry」は、オープンソースとして公開されています。そのソースの公開やコミュニティの中心となるWebサイトが「CloudFoundry.org」です。Apache 2ライセンスが適用されています。
また、Cloud FoundryはVMware製品に依存しておらず、ほかのソフトウェアによって構築されたパブリッククラウドでも運用可能だと説明されています。実際にRightScaleによってAmazonクラウド上で運用のデモンストレーションが行われているとのことです。
PCの仮想マシン上でもCloud Foundryを再現
VMwareはもう1つ、「Cloud Foundry Micro Cloud」という興味深いソフトウェアも発表しています。これはCloud Foundryの環境を1つの仮想マシン上で再現するためのソフトウェア。手元のPC上やローカルのサーバに仮想マシンを立ち上げるだけでCloud Foundryの開発環境として使えるようになるというもの。第2四半期中にリリースされる予定です。
また企業が自社のプライベートクラウドで利用するためや、クラウドプロバイダがPaaSを提供するための商用版の「Cloud Foundry for Enterprise」も将来提供されるとのことです。
果たしてVMwareが仕掛けたエコシステムは回りはじめるか?
これまでPaaSはセールスフォース・ドットコムのForce.com、マイクロソフトのWindows Azure、グーグルのGoogle App Engineなど、それほど選択肢が多くなく、しかもそのプラットフォームにロックインされることを覚悟する必要がありました。
VMwareのCloud Foundryは、まさにこれら既存のPaaSが抱えるロックインの課題を解決するべく、既存のオープンな言語やフレームワークをサポートし、オープンソースで開発し、どのクラウドでも技術的にはサポート可能で特定のクラウドにロックインされないソリューションを提供するものとなっています。
この戦略が目指すところは素晴らしいと思いますが、一方で仕掛けが大きいだけに、うまくいくかどうかはVMware以外のクラウドベンダーがどれだけCloud Foundryを採用するか、そしてCloud FoundryがJavaやRubyなど関連するほかのプロジェクトとうまくかみ合って回っていくかなど、大きなエコシステムをVMwareがいかに回していけるかにかかっているのではないでしょうか。
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