VMware、仮想マシンを超えてメモリを融通するJava VMなどを含む、クラウド用アプリケーションプラットフォーム「vFabric 5」発表
VMwareは6月14日、「vFabric 5」を発表しました。vFabric 5は、アプリケーション管理ツールの「Hyperic」、Apache Webサーバ、アプリケーションキャッシュの「GemFire」、Java VM、Springフレームワークなどから構成される、クラウド用のアプリケーションプラットフォームです。
今回発表されたvFabric 5の注目点は2つあります。
1つは、仮想化されたマシン間を超えてメモリ融通の仕組みを実現した「Elastic Memory for Java」を搭載したこと。仮想マシンがたくさん並んでいただけのクラウドから、それらが相互に協力し合って効率を高めるものへと、今後のクラウドのプラットフォームが進化する方向を示したものといえます。
もう1つの目玉は、vFabric 5の料金がユーザー数やソフトウェアの種類に関係なく、仮想マシンの稼働数に連動するという新たな価格モデル。しかも最大稼働数ではなく、年間の平均稼働数によって決定されるというものです。クラウド時代の新たな価格モデルとして顧客にどう受け止められるでしょうか(新料金体系については、次の記事VMware、仮想マシンの稼働数に連動するソフトウェア料金体系を発表」で詳しく紹介します)。
同社の発表内容を紹介しましょう。
vSphereに最適化されたvFabric 5
クラウド時代に入り、アプリケーションにも大きな変化が起きているとVMwareは主張しています。
デベロッパーはフレームワークを用いて開発を行うようになり、生産性が大きく高まると同時に、モバイルデバイスやソーシャルメディアの普及によってアプリケーションのWeb志向が進んでいます。
Webから生成される大量のデータによって、よりデータ処理の重要性が高まり、アプリケーションはクラウドの上で運用されるようになってきています。
これらに対応したアプリケーション基盤として、「vFabric 5」を発表。
その特徴はVMware vSphereの仮想マシン/クラウド環境に最適化されており、スプリングフレームワークを用いたもっとも優れた環境を提供し、シンプルなパッケージであることです。
仮想マシンの境界を越えてメモリを融通するJava VM
VMwareの仮想マシンに最適化されたのが「Elastic Memory for Java」(EM4J)。同一物理マシンで動作している複数の仮想マシン上のJava VMが、仮想マシンの境界を越えてメモリの融通を行います。大きな処理負荷が発生した場合でも効率的にメモリを利用し、耐えることができるようになります。
メモリ配分の最適化はインフラのレベルで自動的に行われるため、アプリケーション側で考慮する必要はありません。
「Spring Insight Operations」も新機能の1つ。Springフレームワークで開発されたアプリケーションをトレースし、問題箇所をピンポイントで発見できます。
分散メモリグリッドでデータベースレイヤをスケールするSQLFire
「SQLFire」は、現在ベータ版のミドルウェア。ファイルシステム、データベース、それ以外のデータソースとアプリケーションの中間に配置し、データを分散メモリグリッドにキャッシュすることで、アプリケーションからのアクセスをアクセラレートするとともに、データソースのスケーラビリティを実現します。
vFabric 5のリリースは今年の8月の予定。SQLFireは第4四半期にリリース予定です。
vFabric 5と同時に発表された新しい料金体系は、次の記事「VMware、仮想マシンの稼働数に連動するソフトウェア料金体系を発表」で詳しく紹介します。
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