「競合はVMware」、レッドハットCEO「もうLinuxだけの企業ではない」
レッドハットの社長兼CEO ジム・ホワイトハースト(Jim Whitehurst)氏は、今日6月15日の午前中に都内で会見を行い、「レッドハットはLinuxの企業として知られていたが、現在はソフトウェアインフラのフルスタックを提供する企業になった。Linuxだけの企業、JBossのようなミドルウェアだけの企業ではない」と、これからの戦略の中心が仮想化とクラウドになることを表明しました。
競合はVMware。マイクロソフトはやや違う
会見でホワイトハースト氏は、「競合企業は?」との質問に「VMwareが最大の競合だ」と即答。
「仮想化ソフトウェアのvSphereに対してレッドハットはKVMを持っているし、IaaSではvSphereやvCloud、PaaSではCloud Foundryをオープンソースで展開するなど、VMwareの製品展開はレッドハットと近い。また、どちらもソフトウェア企業で、x86サーバをベースにした新しいソフトウェアアーキテクチャを構築しようという点でも似ている。マイクロソフトも同様の製品展開をしているが、オープンソースではないためやや違うと考えている」(ホワイトハースト氏)
この発言にあるように、レッドハットが5月に発表したIaaS基盤ソフトウェア「CloudForms」、PaaS基盤ソフトウェア「OpenShift」はVMwareの製品展開と完全にぶつかっています。クラウド構築基盤のソフトウェアを提供するという戦略を両者共に掲げている以上、同じ種類の製品がぶつかるのは当然のことともいえるでしょう(関連記事「レッドハット、オープンソースによるIaaS基盤「CloudForms」と、PaaS基盤「OpenShift」を発表」)。
レッドハットは競合に対してどのような差別化を考えているのでしょうか。ホワイトハースト氏に直接聞きました。
「私たちの強味は2つある。1つは私たちがLinuxというOSを持っていることだ。Linuxに対応した多くのアプリケーションが稼働しており、顧客はそこから仮想環境へとシームレスに移行しやすい。
また、私たちのミドルウェアはフルスタックだ。VMwareはSpringを買収したが、Springがフレームワークであるのに対し、私たちが提供しているのはアプリケーションサーバとしてのJBOSSであり、実行環境としてすべての機能を提供することができる。
もう1つは私たちがオープンソース企業であるということだ。オープンソースのうえで問題解決に取り組んでいる顧客と協力していることが私たちの強味だ」
一方で、パートナー戦略がこれからの課題と発言しています。
「VMwareのビジネスは仮想化によるサーバコンソリデーションから始まった。これは非常に儲かるビジネスでもあり、自然にパートナーが集まったといえる。一方で私たちは、オープンソースを利用する先進的な顧客と主にビジネスをしていたためパートナー戦略が弱かった面がある。それは認識しており、強化に取り組んでいるところだ」
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