[速報]VMwareはインフラ、アプリケーション、デスクトップの3つをクラウド化する。VMworld 2011
VMwareのイベント「VMworld 2011」がラスベガスで開幕しました。クラウド構築のためのソフトウェアを戦略の柱とする同社は、既存のIT資産であるクライアント/サーバ型のシステム、Windows PCなどをいかにクラウドへと移行(Transform)するか、という点にフォーカスしています。
日本時間で今日の午前7時半から行われた初日の基調講演では、同社プレジデント&CEOのポール・マリッツ氏が登場。インフラ、アプリケーション、デスクトップの3つをクラウドへ移行する戦略と同社の新製品について触れるとともに、同社の仮想環境に最適化したPostgreSQL、スマートフォンの仮想化への取り組みに言及しました。
クラウドへの移行で必要になるものとは
VMware プレジデント&CEO ポール・マリッツ氏
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昨年のVMworldでは、仮想マシンの数が物理サーバの数を上回る、という話を紹介した。今年は同じ会社から発表された、ワークロードの半数以上が仮想化環境で動作しているという調査を紹介しよう。
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いま、半分以上のワークロードが仮想化されている世界となった。6秒ごとに新たな仮想マシンが立ち上がり、2000万以上の仮想マシンが存在している。
クラウド時代が始まろうとしている。そこでは、コンシューマ主導による変化がエンタープライズITにおよぼす影響が次の段階へ進み、ITが再定義されることになる。そこへ速やかに移行するために必要なものとはなんだろうか。
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メインフレームでは、アプリケーションは経理が中心だった。クライアント/サーバ型ではCRM(顧客管理)やERP(統合業務システム)が実行されるようになった。それぞれの時代に適切なアプリケーションは変化していく。
クラウドでは、ITがサービス化され、HTML5などのWeb技術が中心となる。そして多数のユーザー、デバイスが接続され、PCの利用は少数派になるだろう。
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ユーザーがどのデバイスを利用するかはもうコントロールできない。
そのため新しいアプローチとプログラミングテクニックが必要となる。新しいフレームワークと新しいデータファブリックが重要となるだろう。
こうした本質的な変化が、ビジネスプロセスのインフラに起こるのだ。
インフラとオペレーションを変える
既存のIT資産からクラウドの世界へとどうつなげていくのか? 既存のクライアント/サーバアプリを一夜にして書き換えることなどできない。
インフラとオペレーションをモダナイズするために、仮想化とオートメーションを用いる。これがクラウドのインフラとオペレーションスイートとなるvSphereだ。今年、最新バージョンとなるvSphere 5をリリースした。
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高性能、スケーラブル、ストレージのロードバランスや自動ストレージ階層化、大規模VMなどの機能を実現。多くのアプリケーションを、より効率的に、さらにミッションクリティカルに運用できる。
また、パブリッククラウドとしてサービスプロバイダによるvCloudもある。48のvCloudサービスプロバイダがあり、最近デルも参加した。世界中にvCloud Datacenterが広がっている。
新しいフレームワークとデータファブリック
インフラに続くもう1つのクラウドへの移行は、アプリケーションとデータに関することだ。クラウド時代への転換には、新しいフレームワークとデータファブリックが必要だ。それがvFabricである。
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6月に発表したvFabric 5には、GemFire、SQLFire、Data Directorなどが新しく含まれる。
GemFireはデータベースに対してより高いスケーラビリティを提供する。vFabric Data Directorは、データベースに対してバックアップ、クローンなどの操作を行える。
そしてvFabric Data Directorに最適化したPostgreSQLを発表する。
PostgreSQLだけでなく、vFabric Directorに対してはどのデータベースもプラグインできる。SybaseもvSphereに最適化に対応すると発表した。
また、Cloud Foundryは多くのプログラミング言語に対応したクラウド用フレームワークだ。デベロッパーのためにデスクトップマシンで実行できるMicro Cloud Foundryも用意した。USBの中に収まるクラウド開発環境だ。
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PCはさまざまなデバイスの1つとなる
そして最後は、既存のPCの移行だ。クラウド時代にはPCはさまざまなデバイスの中の1つになる。
これまでIT部門にとってWindowsデスクトップが重要であり、それを管理していた。しかしこれからは誰もが自分のデバイスとデスクトップを持つ、ということを理解しなければならない。こうしたデバイスに、仕事用のデスクトップをいかに割り当てるか、という課題だ。
VMware Viewがこの解決策にあたる。VMware View 5.0では、デスクトップ仮想化を提供し、より高効率なバンド幅の利用と、あらゆるデバイスに対応する
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また、スマートフォン1台を業務用、個人用に使い分けられるような仮想化も開発中だ。Androidで実現しようとしている。
IT-as-a-Serviceへ
インフラ、アプリケーション、デバイスの3つのレイヤすべてで、VMwareはクラウドへの移行を実現するソフトウェアを提供する。
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これはITのオペレーションを進化させ、IT-as-a-Serviceへとつなげていくための革新なのだ。
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