マイクロソフトとインテル、重なった基調講演で語られなかったこと
米国時間の9月13日午前9時(日本時間9月14日午前1時)、マイクロソフトとインテルはまったく同時にそれぞれの年次イベント「BUILD」と「IDF2011」の基調講演を開始しました。
カリフォルニア州アナハイムでマイクロソフトの基調講演に登場したのは、スティーブン・シノフスキー氏。
同じカリフォルニア州サンフランシスコでインテルの基調講演に立ったのは、ポール・オッテリーニ氏。
それぞれの基調講演のメッセージを並べてみてみると、両社に共通する戦略が見えてきます。
マイクロソフトの戦略は「すべてをWindowsのタッチUI」に
マイクロソフトのシノフスキー氏は、基調講演の冒頭で次のように述べています。
「タッチインターフェイスは小さな画面のデバイスだけでなく、デスクトップマシンでもノートブックでも、すべてのタイプのPCできっと使われるようになる」
マイクロソフトの戦略はこの言葉からも明らかで、それはデスクトップからノートPC、タブレット、スマートフォンまでを「WindowsのタッチUI」という共通の体験で統合しようというものです。
デモでは、ARMプロセッサのタブレットを用いています。
一方で、Windowsのプラットフォームとしての超薄型で低消費電力の「Ultrabook」にも期待を寄せています。
インテルの戦略は「すべてのデバイスをインテルプロセッサに」
一方のインテルも、次々世代のプロセッサ「Haswell」で「Ultrabook」がさらに進化すると強調。
そしてHaswellを展開するに当たり、マイクロソフトのWindows 8のタッチUIに期待をかけています。ここにタブレットがあるのも見逃せません。
一方、グーグルとの提携で、AndroidをAtomプロセッサに最適化させることも発表しました。
インテルはデータセンター内のサーバ、PC、タブレット、スマートフォンのすべてでインテルプロセッサを展開しようと目論んでいるのです。
共通の戦略:タブレットとスマートフォンの市場を奪いにいく
両社の基調講演から共通の敵がはっきりと見えてきます。それぞれの基調講演で一言も語られなかった共通の敵の名は、言わずもがな「アップル」です。
両社とも現在の強味であるPC市場を足がかりにして、アップルの独壇場であるタブレットとスマートフォンの市場を奪いにいっているのです。
しかし最大の問題は時間です。タッチUIを備えたWindows 8が登場するのは来年、Haswellの登場は2年後、Atom採用のスマートフォンが登場するのは来年、AndroidをAtomに最適化し、その製品が登場するのにも1年はかかるでしょう。
それまでどうやって快進撃の続くアップルの足を止めるか。顧客やデベロッパーがアップルのプラットフォームへ流れていくのをどうやってつなぎ止めるか。華々しい基調講演が終わった後の両社は、そうした泥臭い作戦をしばらく繰り広げていくことになるはずです。
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