[速報]アドビ、PhoneGapを買収。モバイルのクロスプラットフォーム対応へリベンジ
米アドビシステムズは、HTML5、CSS、JavaScriptなどWeb標準の技術で作成したモバイルアプリケーションを、iPhoneやAndroidなどのデバイスにインストール可能なネイティブアプリケーションへと変換するフレームワーク「PhoneGap」を開発する企業「Nitobi」の買収を発表しました。
Adobe AIRのつまづきをPhoneGapでリベンジ
アドビはこれまで、「Adobe AIR」でHTMLやJavaScriptなどのWeb標準やFlashなどを用いて、PCからモバイルまでOSやデバイスにとらわれないクロスプラットフォームなアプリケーションを実現しようとしていました。
しかしアップルのiOSがFlashに対応せず、一時はFlashから変換したアプリケーションの実行も禁止したため、Adobe AIRによるクロスプラットフォーム対応はつまずいてしまいました(追記: Package for iOSの投資はいちど停止しましたが、その後アップルのライセンス変更により開発が再開。AIR 2.6からはiOSアプリの書き出しに対応するようになっており、現在ではiOSアプリの開発も可能です)。
PhoneGapは、WebアプリケーションをiOSやAndroid、BlackBerryなどのOSに対応したネイティブアプリケーションに変換(現在のところ、正確にはラップによりネイティブ化している)します。アップルはPhoneGapで変換したアプリケーションの実行をiOS上で禁止していないため、アドビがAdobe AIRで実現しようとしていたクロスプラットフォーム対応をPhoneGapは新たなアプローチで実現していることになります。アドビが買収に動いたのもうなずけます。
そしてアドビにとってPhoneGapが魅力的に映ったであろうもう1つの理由が、「PhoneGap Build」です。
PhoneGap Buildは、PhoneGapのコンパイルをサービスとして提供するもの。通常は開発者が手もとのデスクトップマシンで行わなければならないアプリケーションのコンパイル作業が、PhoneGapのサービスとして提供されるため、開発者はローカルでのコンパイル環境が不要になります。
これは今日、アドビが発表したクリエイターのためのクラウドサービス「Creative Cloud」のコンセプトとも一致します。近い将来、Creative CloudのサービスとしてPhoneGap Buildが提供されることになるのではないでしょうか。
Adobe MAX 2011
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