ストレージの最新技術トレンド。PCIe、自動ディザスタリカバリ、クラウドストレージゲートウェイ
eWEEK.comの記事として、最近のストレージの動向を解説したFive Key Storage Trends Causing Talk in Mid-2011が公開されています。また、先日最終号となったアスキーのASCII.technologiesにも特集記事の中で桂島航氏による記事「大きく進化するストレージ技術」とストレージが取り上げられています。
SSD、仮想化、クラウドなどの新しい技術の登場は、ストレージ分野にも大きな変化をもたらそうとしています。両記事から、気になるストレージの動向をピックアップしました。
高速なインターフェイス、クラウドとの連係
PCIeのメインストリーム化
The mainstreaming of PCIe
これはeWEEKの記事から。サーバの内蔵ストレージといえばSATA(Serial ATA)やSAS(Serial Attached SCSI)で接続されるのが一般的ですが、SSDの高速性を活かすためにPCI Express経由での接続が普及するだろうという予測です。
ASCII.technology誌 9月号の特集記事「テクノロジーのいまとこれから」でもPCIeが取り上げられていますので、そこから解説を引用しましょう。
SSDはいままで、HDDとの物理的な互換性を保つために、HDDのフォームファクターを利用することが多かった。一方PCIe SSDは、HDDとの物理的な互換性にこださらずにPCIeバスへ直接接続することで、フラッシュメモリの高速性をより引き出しやすい構成になっている。
PCIe SSDのフォームファクターやコネクタなどの標準化への取り組みも始まっているとのこと。PCIeは有望な技術とは思いますが、メインストリームにまで成長するかどうかは個人的には疑問です。
仮想マシンのイメージがスナップショット代わりとなる
Virtual machine image cloning as an alternative to snapshots
これもeWEEKの記事での予想。オラクルがリリースしたVirtualBox 4.1には、バーチャルマシンのクローン機能が搭載されており、こうした機能がサーバのスナップショットをとる機能として使われるだろうとのこと。
自動化されたディザスタリカバリ
Automated disaster recovery
仮想化によってディザスタリカバリに必要な作業のほとんどが自動化され、情報システム部門はそれをチェックするだけでよくなるとのこと。
クラウドストレージゲートウェイ
これはASCII.technologyの記事から。非常に面白そうな技術です。誌面から説明を引用します。
ゲートウェイは、企業のサイト内に配置されてふつうのストレージのようにアクセスすることが可能だが、バックエンドでクラウドストレージとつながっており、自動階層化やキャッシュなどを通してクラウドストレージとデータがやりとりされる。
1つめの理由は、標準プロトコルを使ってアクセスできるという点だ。具体的には、iSCSIやNFS/CIFSのような、ストレージの標準的なプロトコルを使ってデータのやりとりが行えるようになる。クラウドストレージは、RESTベースのAPIを用意しているケースが多いが、標準プロトコルからAPIへの変換はゲートウェイが行ってくれる。
つまりクラウドをあたかも普通のストレージのようにみせる装置です。しかもゲートウェイで暗号化したり圧縮したりすることで、クラウド上のデータのセキュリティを高められる利点も。
ゲートウェイがクラウドサービス間のAPIの違いなどを吸収してくれるので、複数のクラウドサービスにデータを分散したり、そのあいだでデータ移行をしたりすることが容易に出来る。
複数のクラウドへデータを保存してデータの冗長性を高めることで信頼性を確保するなど、ゲートウェイに持たせる機能でさまざまな可能性が考えられそう。クラウドは大量のデータ保存や長期間のデータ保存先として期待されています。クラウドストレージゲートウェイは、それを実現するカギとなる技術となりそうです。