オラクルが仮想化市場へ「Oracle VM 3.0」で本格参入。VMwareを標的に
オラクルは23日、仮想化ソフトウェアの最新版「Oracle VM 3.0」を発表、仮想化市場に対して本格的に参入する姿勢を明らかにしました。
これまでOracle VMは、同社のデータベースやアプリケーションのための仮想環境という位置づけで見られていましたが、Oracle VM 3.0はオラクル以外のソフトウェアも含む、データセンター全体を仮想化するためのソフトウェアとして打ち出されています。
オラクルはOracle VM 3.0をアピールするためにVMwareのvSphere 5を引き合いに出し「こちらは4倍スケーラブルで、向こうは4倍高価だ」と主張しています。
先週行われたOracle VM 3.0ローンチイベントの内容を紹介しましょう。
「アプリケーション指向」の仮想環境
オラクル チーフコーポレートアーキテクト Edward Screven氏。
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Oracle VM 3.0がVMwareと比べてどう違うのか? まずOracle VM 3.0はオラクルのソフトウェアを実行するためにチューンされている。そして、データベースを動作させることを想定したスケーラブルな能力を備え、オーバーヘッドも小さく、そして安価だ。
動作環境はx86サーバ、もしくはSparcサーバ。もちろんオラクル以外のデルやヒューレット・パッカードなどのサーバでも動作する。WindowsやLinuxもサポートする。
Oracle VM 3.0はオラクルのソフトウェアだけでなく、オラクル以外のソフトウェアを仮想化するためのインフラとしても優れた製品だ。
続いて、シニアバイスプレジデント、Linux and Virtualization Engineering、Wim Coekaerts氏。
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Oracle VM 3.0のコンセプトは「アプリケーション指向仮想化」だ
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アプリケーション指向とはどういうことか。仮想化はアプリケーションのデプロイ、管理を変えていく。オラクルはデータベース、ミドルウェア、アプリケーションのソフトウェア群を提供しており、これらのソフトウェアと仮想化を統合したテンプレートを用意した。
このテンプレートでは、アプリケーションとそれに必要なミドルウェア、データベースがすべて設定済みでありパッチ適応済みだ。これをダウンロードして仮想環境にデプロイすれば、Webブラウザからすぐに使い始められる。
しかも、ほかのサーバに展開するために仮想環境をクローンしたときにも、IPアドレスの設定など必要な設定が自動的に行われるようにした。
もちろん、オラクルのハードウェアで動作確認済みである。
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Oracle VM Server 3.0は、Linux、Solaris、Windowsをサポートする。
VMwareよりもプロセッサの面でもメモリの面でもスケーラブルだ。ゲスト上では128仮想プロセッサをサポートする。これはVMwareが発表したばかりのvSphere 5の4倍だ。メモリも1TBまでテストした。
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Oracle VM 3.0では管理ツールにも力を入れた。Oracle VM ManagerはWebブラウザベースであり、iPadからでも使える。
物理的にサーバにもストレージにもネットワークにも直接触れることなく、管理ツールから、すべて管理できることを目指した。
サーバのNICの割り当てや仮想ネットワークの管理、ストレージのボリューム管理も管理ツールからできる。ストレージは、ストレージベンダがプラグインを開発することにより、どのベンダのストレージも管理ツールから管理できるような構成になっている。
主要機能をいくつか紹介しよう。
Dynamic Power Management
サーバのワークロードが下がってきたら、ライブマイグレーションで特定のマシンにワークロードを寄せて、空いたマシンの電源を切る。
Distributed Resource Scheduling
CPUの利用量やネットワークの利用量をつねに監視し、負荷の高いサーバから負荷の低いサーバへと仮想マシンを移動させてワークロードの最適化を行う。
High Availavirity
お互いにハートビートを監視し、クラッシュなどを発見したら、仮想マシンを別のマシンに移動して動作させ続ける。
Assembly Builder
ファイアウォール、WebLogic Server、データベースといった複数の仮想マシンからなるデプロイのための組み合わせを1つのアセンブリとして作成し、まとめてサーバプールにデプロイできる機能。
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価格は非常にコンペティティブだ。Oracle VM 3.0のソフトウェアは無料で利用できる。コストがかかるのは有償サポートを利用するときだ。