メンテナンス不要のOracle RACマシン、米オラクルが「Oracle Database Appliance」を発表。アンチクラウド戦略を進む
米オラクルは9月21日、データベースの専門家がいない中小企業でも容易に導入し、自動化された運用で手間のかからないOracleデータベースマシン「Oracle Database Appliance」を発表しました。
企業がデータベース導入で直面する大きな課題の1つが運用にかかるコストです。データベースの知識のあるエンジニアを情報部門で雇用して保守を担当させるか、あるいはSIerのような専門家に運用支援を依頼する必要がありました。
クラウドが注目されているのは、こうしたデータベースを含むIT基盤の運用一切を外部にアウトソースできるためです。人的資源も含む固定資産が不要になり、運用コストが変動費化すると同時に大幅に圧縮できます。
しかしオラクルのラリー・エリソン氏は以前からクラウド嫌いで知られており、自社製品としてはクラウドに背を向け続けています(クラウドベンダを通してクラウド上でのライセンス提供などはしていますし、Oracle on Demandなどもありますが)。オラクルはクラウド以外の手段で、運用のアウトソース化、変動費化、圧縮などを実現しようとしており、その解の1つが今回の情報部門に大きなリソースを割けない中堅中小規模の企業をターゲットにした「Oracle Database Appliance」です。
ハードウェア構成は1つだけ。ライセンスの変更で2コアから24コアまで
Oracle Database Applianceは、Xeonプロセッサを搭載し最大24コアを利用可能。192ギガバイトメモリ。12テラバイトのハードディスクと252ギガバイトのSSD。サーバ、ストレージ、ネットワーク、電源、冷却装置はすべて冗長構成。
Oracle Database 11g Enterprise Editionが稼働し、ストレージ管理は自動。Oracle Real Application Clusterでアクティブ-アクティブのクラスタ構成。従来のOracle Databaseと完全互換。Oracle Linux搭載。
故障すると機械が自動的にサポートセンターへ知らせて対応が行われる。
電源を入れ、ネットワークにつなげて、ウィザードにIPアドレスやデータベースの大きさをいれればインストールが終了、運用開始となる。
パッチはボタン1つで、ファームウェアからストレージ、データベースなどすべてに簡単に適応される。ストレージ管理もメモリ管理もバックアップも自動。
ハードウェア構成は1種類のみ。ハードウェアのアップグレードはなく、ライセンスの変更だけで、2プロセッサから24プロセッサまでスケールする。
クラウドにアプライアンスで対抗
運用が外部(オラクルのサポート部門)によってサポートされること、冗長化されており、ソフトウェアの設定だけでスケールすることなど、Oracle Database Applianceはクラウドが提供しようとしている「自動化され仮想化されたITリソース」を、アプライアンスという別のアプローチで提供しようとしているわけです。
オラクルはハイエンドに向けては「Oracle Exadata」「Oracle Exalogic」を、中堅中小に向けてはより自動化を進めた今回の「Oracle Database Appliance」を用意し、クラウドに対してアプライアンスのラインナップで対抗していくことを鮮明にしました。来週サンフランシスコで行われる「Oracle OpenWorld」では、さらに踏み込んだ発表があるかもしれません。
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