オープンソースのOpenStackと、オープンハードのOpen Compute Serverを組み合わせた企業向けのクラウドアプライアンス「Nebula」が発表
NASAのCTOだったChris C. Kemp氏が創業した企業「Nebula」は、「あらゆる企業がクラウドを持てるようにする」ことを目指して、つなげるだけでクラウドを簡単に構築できるアプライアンスサーバ「Nebula Enterprise Cloud Appliance」を発表しました。
このアプライアンスサーバは、オープンソースソフトウェアの「OpenStack」と、オープンハードウェアの「Open Compute」をベースにしています。
企業向けに設計され管理ツールとも連係
Nebulaの説明によると、導入に際して専門的なソフトウェアの知識もハードウェアの知識もコンサルティングも不要。アプライアンスを購入し接続するだけで、スケーラブルで高可用、セキュリティの機能も備えたクラウドが安価に構築できるとのこと。
Nebula Enterprise Cloud Applianceは最初から企業向けに設定されているため、ヒューレット・パッカードやデルの管理ツールともプラグ&プレイで連係。
同製品はエネルギー、ファイナンス、メディアなどの分野で今年の第4四半期から早期導入プログラムが始まる予定です。
ハードウェアベンダにとってOpenStackの重要性は高まる
クラウドはハードウェアとソフトウェアを高度に統合することで、スケーラビリティ、高可用性、自動化された運用などの特徴を実現しています。ハードウェアベンダにとって、今後マーケットの主役となる可能性の高いクラウド市場で戦うために、自社のハードウェアをクラウド基盤ソフトウェアと緊密に連携させることの重要性が高まってきています。
昨日の記事「存在感が高まるOpenStack。デルがクラウド構築パッケージを発表。HPもプロジェクトに参加」では、デルがOpenStackとのパッケージを発表、ヒューレット・パッカードもOpenStackに積極的な姿勢を見せ始めたことをお伝えしました(付け加えれば、両社ともOpenStackだけでなく、マイクロソフトのWindows Azure Platform applianceをリリース予定ですし、VMwareのvSphereやRedHatのKVMなどとの連係にも熱心です)。
しかしハードウェアベンダにとって特定のソフトウェアベンダに依存しすぎるのは戦略として不安定です。いつの間にかその会社が競合と提携したり買収されたりするかもしれません。例えばヒューレット・パッカードは以前はVMwareとの連係が目立っていましたが、VMwareがシスコと戦略的な提携をした後はマイクロソフトとの距離を縮めるようになっています。
オープンソースとして開発されているOpenStackは、ソフトウェアベンダと連係するよりも安定した戦略が期待でき、かつ自社ハードウェアへの最適化や差別化の余地もあるため魅力的に映るのでしょう。
今後もOpenStackを軸にしたさまざまなソリューションや製品がハードウェアベンダから(そしてもちろんソフトウェアベンダからも)登場することになるはずです。