OpenFlowは複数ベンダの混在環境でも動作するか? NTTデータが実証実験に成功
ネットワークの新しいスイッチングアーキテクチャとして登場した「OpenFlow」。OpenFlowは、OpenFlowコントローラによってOpenFlowスイッチを集中管理する新しいネットワークの仕組みです。
OpenFlowコントローラは、OpenFlowスイッチに対してルータやスイッチやロードバランサーやプロキシーなどに相当するさまざまな動作を、スイッチのポートや送信元MACアドレス、VLAN ID、宛先IPアドレスなどの情報を基にプログラムとして実現できます。
これにより、ネットワーク上のスイッチ、ルータなど従来のネットワーク機器を(理屈の上では)OpenFlowスイッチに置き換えることができ、ネットワークの管理がシンプルになると同時に、これまでより格段に柔軟性や拡張性に富むネットワーク構築を可能にします。
NEC、アリスタ、エクストリーム、ブロケードの混在環境
NTTデータは、複数ベンダのOpenFlowコントローラで構築したクラウド環境で実証実験を行い、正常に動作することを確認したと発表しました。
OpenFlowスイッチとして、NEC、アリスタネットワークス、エクストリームネットワークス、ブロケードの4社のOpenFlowスイッチ(NEC以外は開発中のプロトタイプ)を利用し、それらをNTTデータで開発中のOpenFlowコントローラーから制御しました。
仮想化ハイパーバイザには、シトリックスのXenServer 5.6 Service Pack 2を用いています。下記の図では物理サーバ内にもOpenFlowスイッチが存在しています。NTTデータの発表ではここにどんなOpenFlowスイッチを利用したかの記述はありませんが、おそらくOpen vSwitchソフトウェアによってOpenFlowの仮想スイッチを用意したのでしょう。
実証実験で検証したのは以下の3点です。
従来のVLANを使わない仮想ネットワークの自動構築
従来のVLANを使わずOpenFlowの制御により、1つの物理ネットワーク上にA社B社に対応する複数の仮想ネットワークを実現。
仮想サーバのライブマイグレーションの対応
XenServerのライブマイグレーションを使い、仮想サーバを物理サーバ間で移動。仮想サーバの移動に合わせてネットワーク構成も自動的に変更された。
ネットワーク機器の自動迂回制御
特定のOpenFlowスイッチを保守で止めたり故障で停止した場合に、ネットワークの動作がその影響を受けないように自動的に当該スイッチを迂回するような経路制御ができることを確認。
実システムへの採用が始まるOpenFlow
クラウドではアプリケーションやテナントごとに仮想ネットワークを構築する必要に迫られます。しかし従来のVLANは作れる仮想ネットワーク数の上限や、多数の機器が混在した環境での設定管理の煩雑さなどに課題を抱えていました。
また機器の故障に備えてネットワークを冗長化する場合、スパニングツリーのような従来の技術では冗長を持たせた部分は障害時にしか使われない無駄の多い構成になるなどの課題もありました。
OpenFlowはこうした課題を解決する技術の1つとして期待されており、国内では日本通運が基幹プラットフォームに採用するなど、少しずつ利用に向けた動きが広まっています。
参考:企業内クラウドにOpenFlow適用、サーバー仮想化の利点を最大化 - ITpro
NTTデータでは今後、他ベンダーも含めてOpenFlowの検証をさらに進めていくとしています。
OpenFlow関連記事
あわせて読みたい
グーグル、「Google Cloud SQL」を発表。Google App EngineにMySQLをベースにしたリレーショナルDBを追加
≪前の記事
[速報]オラクル、企業向けソーシャルネットワーク「Oracle Social Network」発表。Fusion Applicationsに統合。Oracle OpenWorld 2011