ITのサイロ構造を解放するためにはSOAのインフラが必要だ。IBM Impact 2011
IBMが4月11日から米ラスベガスで開催したイベント「IBM Impact 2011」は、仮想化やクラウドといった最近流行のキーワードが踊るイベントとは異なり、「いかに企業のアジリティをITで実現するか」をテーマとしたエグゼクティブ向けのイベントでした。
アジリティを実現するキーワードとなったのがService Oriented Architecture(SOA、サービス指向アーキテクチャ)です。既存のシステムをSOA基盤によってサービス化し、柔軟なビジネスプロセスを実現することでソフトウェア資産を活かしつつアジリティへの変革を実現する、というのが同社のメッセージ。
2日目の基調講演の内容を、公開されているビデオを基にダイジェストで紹介します。
SOAをインフラとし、ビジネスアジリティを実現する
ソフトウェア&システムズ担当上級副社長 スティーブ・ミルズ氏。
(昨日の基調講演では、企業の変革についての経営寄りの話だったことに対し)今日のセッションではよりディープなテクノロジーの話をする。ビジネスアジリティをサポートするテクノロジーについてだ。
これまでのSOAへの進化はビジネスアジリティを実現するためのものだった。さまざまな技術的挑戦や進化の末、標準化も進められてきた。
私たちはService Oriented Architecture(SOA)、ビジネスプロセスマネジメント、コリオグラフィ(振り付け、すなわちシステムやサービスの連係といった意味)といったものに強くフォーカスしている。
企業が持つビジネスの強味はビジネスプロセスに依存している。それを実現しているのはアプリケーションだ。ITはビジネスプロセスを実行し、ビジネスの目的を達成するためのツールである。
そしてSOAは、ビジネスプロセスに従って実行しなければならないアプリケーション、プロシージャ、メソッドといったものをサイロ構造のシステムから解放し、自由に再利用することを実現し、ビジネスを最適化する技術である。
IBMは数年前にSOAへの対応を打ち出した。単にWebサービスやラッパーといったものではなく、フレキシブルで高性能なインフラストラクチャーとしてのSOAである。
当初は比較的シンプルなものだったが実装を洗練し、スケーラブルで高いトランザクション能力を持つ、この時代にふさわしいインフラストラクチャーになった。
多くの企業、政府では既存のプログラムが数多く実行されている。これを、SOAのインフラを使ってサービスとして浮き上がらせる。そうすることで効果的なプロセス統合が行え、ビジネスプロセスをシームレスに構成できるのだ。
このインフラに必要なのが、コネクティビティ、プロセスオートメーション、セキュリティ、QoS(クオリティ・オブ・サービス)、そして高いパフォーマンスだ。
IBMはインフラの中にトランザクションモニタマネージャなどを備えており、複雑な分散環境に対して、信頼性、堅牢制、高いトランザクション性能、障害復帰能力などを実現している。それがWebSphereだ。
IBMはこうしたインフラへの高い要件に対応するSOA Reference Modelを作成した。
まだ誰もこのレベルに達していないが、IBMはさらにその先へ進もうとしている。モバイルサポート、クラウドや仮想化対応などだ。
SOAの導入にとって大きな効果を上げた顧客の例を紹介しよう。トルコのISBANK銀行は、銀行業務をWebSphere Enterprise Service Busのうえで構築した。
ニューヨーク州税務署は、SOAによって徴税業務などの効率化を実現した。このほかにも多くの事例がある。
Smarter SOAによって、IBMのビジョンであるSmarter Planetの実現へつながっていくだろう。