レッドハット、オープンソースによるIaaS基盤「CloudForms」と、PaaS基盤「OpenShift」を発表

2011年5月20日

オープンソースのパワーをクラウドに投入するとして、レッドハットはIaaSを実現する「CloudForms」と、PaaSを実現する「OpenShift」の一連のソフトウェア製品群を、5月3日から行われたイベント「Red Hat Summit 2011/JBossWorld 2011」で、発表しました。

すでにクラウドを実装するためのオープンソースソフトウェアはさまざまなものが登場しています。IaaSを実現するものとしては、EucalyptusやOpenStack、CloudStackなどがあり、PaaSを実現するオープンソースソフトウェアとしては、VMwareがCloudFoundryを発表しています。

レッドハットの今回の発表は、IaaSとPaaSのスタックを一貫してオープンソースで提供することが特徴といえます。Red Hat Summit 2011/JBossWorld 2011の基調講演で発表された内容を紹介します。

クラウドはオープンソース抜きには成立しない

レッドハットの会長兼CEOのJim Whitehurst氏。

クラウドはオープンソース抜きには成立しない。特定のテクノロジーやスタックではなく、技術の集合体であるのがクラウドだ。

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イノベーションは、さまざまなチャレンジや競争の中で生まれるが、いまクラウドはそれぞれが独自のAPIの提供を始めている。あるクラウド向けにアプリケーションを開発すると、別のクラウドへの移植は容易ではない。

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もしクラウドにロックインされるようなことがあれば、それはまるで1980年代に戻ったようだ。DECやIBMといったそれぞれのベンダにロックインされていた時代に。

クラウド対応のアプリケーションはロックインされるべきではない。マルチクラウド対応でなければならない。レッドハットのアプローチは、チョイスである。いちど書いたクラウド対応アプリケーションのポータビリティを実現しようとするものだ。

続いて、プロダクト&テクノロジ担当上級副社長Paul Cormier氏登場。

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ITの将来は、明確にオープンに向かって進んでいる。インターネット以来の最大の波がクラウドであり、Red Hatのクラウドは、Red Hat Enterpirse Linux、JBoss、δ-Cloudなどさまざまなオープンソースソフトウェアやプロジェクト、コミュニティなどから構成されたものだ。

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そして、次世代のクラウドのアーキテクチャもオープンソースで構築されようとしている。

Red Hatが提供するクラウドをさらに前進させた「CloudForms」を発表する。これは、真のIaaSの機能をオンプレミスで提供する。

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ベアメタル(サーバ)、仮想化、パブリッククラウドを包括的に管理する機能を提供し、テンプレートベースのアプリケーションスタック、ダイナミックイメージングなど、クラウド上のアプリケーションのライフサイクルマネジメントを行う。

オンプレミスのクラウドコンピューティングのためのもっとも包括的なパッケージとなる。

もう1つの発表は「OPEN SHIFT」だ。これはオープンソースで開発するすべてのデベロッパーのためのPaaSを提供する。

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オートスケーリング、利用に応じた課金、一貫したデプロイ、Java、PHP、Ruby、Pythonなど複数の言語のサポートなどを実現する。オープンソースソフトウェアのパワーをクラウドに持ち込むものだ。

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VMwareに重なるレッドハットの戦略

この日、同社はインメモリデータグリッドの「JBoss Enterprise Data Grid」の発表も行いました。JBoss Enterprise Data Gridは巨大なメモリキャッシュをデータベースの前段に置くことで、クラウド向けデータベースに求められるスケーラビリティを実現する製品です。

レッドハットは仮想化ハイパーバイザとしてRed Hat Linux/KVMを提供し、IaaS基盤として今回発表したCloudFormsを、PaaSとしてはOpenShiftを、そしてバックエンドデータベースのためにインメモリデータグリッドを提供することになります。

これは、ハイパーバイザとしてVMwareを、IaaSとしてvSphereを、PaaSとしてCloudFoundryを、インメモリデータグリッドとしてGemStoneを提供するVMwareの展開に重なります。

しかも主なコンポーネントがオープンソースで提供されていることも類似性を感じます。

クラウド市場は、当初グーグルやAmazonクラウドなど、クラウドをサービスとして提供するベンダが切り開いてきましたが、ここへきてクラウドを構築、利用するためのソフトウェアが次々に登場する展開になろうとしています。これからはサービスの進化とソフトウェアの進化が連係しつつ競争する、ということになりそうです。

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Junichi Niino(jniino)
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