HP、超低消費電力で超高密度の新アーキテクチャサーバを開発中、プロジェクト「Moonshot」
米ヒューレット・パッカードは、超低消費電力で超高密度のサーバを開発するプロジェクト「Moonshot」を発表しました。このプロジェクトで開発中のサーバプラットフォーム「Redstone Server Development Platform」では、4Uサイズのシャーシに288サーバが収まるという高密度を実現しています。
現在はARMプロセッサをベースに開発中で、将来はインテルのAtomプロセッサも搭載予定とのこと。
製品の登場は来年前半に予定されており、まずは一部の顧客とHP Discovery Labに提供され、ベンチマークなどの評価と適応分野の調査などが行われる予定です。
新しいサーバアーキテクチャ
Moonshotで開発中のサーバの特徴は、新しいアーキテクチャを採用している点にあります。
従来のサーバは、1つのプロセッサに対して、チップセット、電源、冷却、I/O、ストレージ、管理機能などが付加されて1つのサーバとなります。
サーバルームやデータセンターなどでは、それを高密度に集約して利用しています。
Moonshotは従来のアーキテクチャとは異なります。プロセッサに対してチップセットや電源、冷却、I/O、ストレージ、管理機能などが用意されるのは同じです。
しかしチップセットとプロセッサは統合され、かつそれが多数集約されます。そこに対して電源や冷却、I/O、ストレージ、管理機能が提供されるのです。これによってサーバ間を結んでいた多数のネットワークケーブルが不要になったり、全体の構成がシンプルになって空冷しやすくなるなど、効率的に集約度を高めることが可能になります。
低消費電力のプロセッサの採用とこのアーキテクチャによって、消費電力は89%削減、スペースは94%削減できるとヒューレット・パッカードは主張しています。
新しい時代のサーバアーキテクチャとして有望か
現在のサーバは、ある程度の能力のコアを複数搭載した高性能サーバの能力を、仮想化ハイパーバイザで切り分けて利用する方法が主流です。
しかしMoonshotで開発中のサーバは、低能力超低消費電力のプロセッサを多数並べて高速に接続するというアーキテクチャであり、従来のサーバ向けソフトウェアとは異なる、このアーキテクチャを活用できるような新たなソフトウェアレイヤやサーバアプリケーションの開発が求められます。成功の鍵は、こうしたソフトウェアやアプリケーションの発掘、開発にあるでしょう。
あわせて読みたい
2011年10月の人気記事「グーグル、新言語Dartを発表」「EPUB3がついに完成」「アドビ、PhoneGap買収」
≪前の記事
アジャイル開発とクラウドじゃないとこれから勝てない~アジャイル開発×クラウドがもたらす変化(後編) Scrum Gathering Tokyo 2011