[速報]まつもとゆきひろ氏、米HerokuのRubyチーフアーキテクトに就任
サンフランシスコに本社を置き、Ruby on RailsのPaaSなどをクラウドで提供しているHerokuは、オープンソースのプログラミング言語「Ruby」の開発者であるMatzこと、まつもとゆきひろ氏が、同社においてRubyのチーフアーキテクトに就任すると発表しました。
まつもと氏以外にも、Rubyの開発コアメンバーの数人がHerokuのフルタイムのスタッフとなる方向で話が進んでいるとのことです。
まつもと氏は引き続き、島根県に本社を置くネットワーク応用通信研究所のフェロー、楽天技術研究所のフェロー、Rubyアソシエーションの理事長などの肩書きを持ち続け、これまでと同様にRubyのオープン性と発展にコミットした活動を続けていくことを明らかにしています(まつもと氏のインタビュー記事「「Rubyの進歩がより速くなることを期待している」 Herokuのチーフアーキテクト就任について、まつもと氏との一問一答」を参照)。
Herokuは、まつもと氏のチーフアーキテクト就任の目的を、同社のためだけでなくRuby言語やコミュニティの発展を支援するためだと位置づけており、まつもと氏の活動を支援していくことを表明しています。
サンフランシスコをベースにし、クラウドに特化した企業がRubyの積極的な支援を始めることで、Rubyの発展が今後さらに大きく進むことが期待されます。
Rubyに戦略的に投資するセールスフォース・ドットコム
Herokuへのまつもと氏就任のきっかけは、Herokuの親会社である米セールスフォース・ドットコムCEOのマーク・ベニオフ氏が「Rubyの開発を支援したい」と、まつもと氏に申し出たことだったと、まつもと氏はインタビュー記事で明かしています(米セールスフォース・ドットコムは昨年12月にHerokuを買収)。
Herokuを買収し、Ruby開発者であるまつもと氏を迎える背景には、Rubyに戦略的に投資するという米セールスフォース・ドットコムの考えがあったといえそうです。
米セールスフォース・ドットコムのプラットフォーム担当シニアバイスプレジデントで、Herokuのジェネラルマネージャでもあるバイロン・セバスティアン(Byron Sebastian)氏は、まつもと氏のHerokuのRubyチーフアーキテクト就任に関して次のようにコメントしました。
─── まつもと氏がHerokuに参加することに、どのような期待をしていますか?
「まつもと氏は技術者としては伝説のようにすばらしい人であり、同時にRubyのパワーを活用することで人々の暮らしをもっとよくしたいと考えるエバンジェリストでもあります。
私たちはまつもとさんを受け入れるに当たり、そうした活動をそのまま続けてほしいと考えていますし、それをどうすれば続けられるのか、まつもとさんとコミュニケーションをとっていこうと考えています。
と同時に、Herokuに対してまつもとさんからのアドバイスや、チームとしてメンバーが増えることでより開発が進むことについても期待しています
─── Herokuは最近、Ruby以外にClojureやNode.jsといった言語のサポートも開始していますね?
まつもとさんともその話をしました。彼はRubyの開発者なので、その点をどう思うのか気にしていたのです。でも、まつもとさんもNode.jsやClojureを気に入っていると聞き、安心しました。
Node.jsは並列性にすぐれていますし、Clojureは正確性(コレクトネス)、可読性などに優れています。3年後のプラットフォームを考えると、多視点的な新しいプラットフォームが必要となるのではないかと考えています。
次の記事「「Rubyの進歩がより速くなることを期待している」 Herokuのチーフアーキテクト就任について、まつもと氏との一問一答」では、本件について、まつもと氏にインタビューをしています。あわせてお読みください。
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