Heroku、クラウドでLisp系言語「Clojure」のサポートを開始
Ruby on RailsのPaaSをクラウドで提供しているHerokuが、Clojureの公式サポートに向けたベータ版の提供を開始したと発表しました。
ClojureはLisp系のプログラミング言語で、関数型プログラミングを用いて並列処理の記述などを得意とします。JavaVM上で実装されているため実績や速度に優れるという利点もあります。
Herokuでは、Clojureの特徴を次のように紹介しています。
Clojure combines the expressiveness of Lisp, the agility of a dynamic language, the performance of a compiled language, and the wide applicability of the JVM in a robust, production-ready package.
Clojureは、Lispの表現力と動的言語のアジリティ、コンパイル言語の性能、そして堅牢なJVMによる幅広い適用範囲、製品としての完成度を合わせ持っています。
クラウド向き技術の実験場のよう
HerokuはRuby on RailsのPaaSをクラウドで提供するベンチャー企業で、昨年12月にセールスフォース・ドットコムに買収されました。買収後も独立した企業として事業を継続しています。
HerokuはRubyに続き、先月にはサーバサイドJavaScriptのNode.jsのサポートを発表したばかりで、今回のClojureのサポートは同社にとって3つ目の言語サポートなります。
先日の記事「プログラミング言語やデータベースが選べる新世代PaaS「DotCloud」が正式サービス開始」で、第二世代PaaSではプログラミング言語やデータベースの選択肢が増えてくると書きましたが、Herokuもこの方向に向かって進化しているようです。
Herokuがサポートを表明した3つの言語はまだメジャーな言語とはいえませんが、クラウド時代のプログラミング言語として重視された機能を持つものばかりです。
クラウド時代のプログラミングで重視される点とは、例えば高い生産性やアジャイル開発との相性、あるいは並列処理の記述などです。Ruby/Ruby on Railsはアジャイル開発など生産性の高い開発を実現する言語/フレームワークとして知られています。Node.jsはノンブロッキングI/Oを採用することで並列性の高い処理やイベントハンドリングに優れていますし、Clojureは関数型プログラミングによる並列処理の記述を得意としています。
Herokuはクラウド向けの技術的チャレンジをしている感じですが、これもセールスフォース・ドットコム全体で見れば、本体ではエンタープライズ向けに着実なビジネスを進めつつ、Herokuで実験的なチャレンジを進めるという役割分担があるのかもしれません。