エンタープライズ向けのFirefoxに踏み出すモジラ
Webブラウザは、いまやアプリケーションのプラットフォームとして動作する重要なソフトウェアになりました。その意味は企業にとっても重く、企業内のPCのOSをアップグレードするのと同様に、Webブラウザのアップグレードを行う場合にもそれまでのアプリケーションがきちんと動くかどうかを慎重に確認する必要があります。
もしも新しいバージョンのWebブラウザで既存のアプリケーションが動作しなければ、アプリケーションを作り直さなければならないという手間とコストのかかる作業をしなければならないためです。
これまで、モジラやオペラやグーグルといったWebブラウザベンダの中で、Webブラウザが企業で使われることをもっとも意識してきたのはマイクロソフトでした。Internet Explorerは過去のバージョンとの互換性をとりつつ、新機能の採用についても慎重に行ってきています(参考:IE9はHTML5のオフライン機能よりも安定性を選んだと)。
その企業内でのWebブラウザ利用について、モジラも真剣に検討をはじめたようです。
企業では動作保証やセキュリティが課題
6月28日付けのモジラのブログにポストされたエントリ「Firefox in the Enterprise」(Firefoxの法人利用について)で、これまでモジラは個人ユーザーに焦点をあてて開発をしてきたけれども、今後は法人利用についても支障のないようなものにするべく検討を開始すると書いています。
日本語訳されたモジラのブログ(Firefox の法人利用について)から引用します。
法人で Firefox を導入する場合、重要な課題があります。ひとつは、Firefox が更新されるたびに、自社の Web サイト、アプリケーション、アドオンの動作保証を行わなければならないということです。これには数週間から数か月を要することもあるでしょう。セキュリティもまた最重要課題であり、社内では既知のセキュリティ問題がすべて修正されたバージョンを使用しなければなりません。
モジラはこうした課題についてコミュニティの場でオープンな議論を進めていくと表明しています。これらがうまく解決するならば、法人ユーザーだけでなく個人ユーザーにもメリットがありそうですね。
私たちは対話を続けることを楽しみにしており、また何か進捗があったらお知らせします。
今後の進捗に期待しましょう。