Amazonクラウド、Oracle 11gのデータベースサービスを発表。パッチ適用やバックアップなど運用は全部クラウドにおまかせ
Amazonクラウドは、同社が提供しているデータベースサービス「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)でOracle 11gのサポートを開始すると発表しました。
Amazon RDSはこれまでMySQLによるデータベースサービスを提供していましたが、Oracle 11gにも対応することで業務システムのクラウド移行が容易になります。
Amazon RDSはデータベースの導入と運用を自動化
Amazon RDSは、クラウドによるデータベースの導入と運用を自動化してくれるサービスです。Database as a Service(DBaaS)と呼ばれることもあります。利用者がコンソールからボタンを押すだけで自動的にデータベースのインスタンスが起動し、数分で利用を開始することができます。
運用に関しても、バックアップ、ソフトウェアへのパッチ適用は自動的に行われます(このための計画停止があります)。また、利用者が指定した時点でのスナップショットをとることも可能。万が一データベースがクラッシュしたときに備えて、データセンターの別の区域にデータを同期させたインスタンスをスタンバイさせておくオプションも用意されています。
Oracle 11g対応のAmazon RDSでもこれらの機能が利用できると予想されますが、詳細はまだ明らかになっていません。
1時間あたりの利用料金も未定ですが、すでにOracleのライセンスを保有しているユーザーはそのライセンスをクラウド上で利用するOracleに適用することが可能であると発表されています。
下位レベルのカスタマイズはどこまで可能か?
Oracleデータベースは多くの業務アプリケーションで使われていますが、データベースの導入、運用はシステム運用の中でももっとも手間やスキルが求められる作業です。またスタンバイ用のマシンやバックアップストレージまで用意しようとするとハードウェアコストもかさみます。それらのハードウェアが不要で、しかも運用までクラウドが肩代わりしてくれるという点で、このデータベースサービスは非常に魅力的なものといえるでしょう。調達コスト、運用コストを大幅に下げることができると期待されます。
ただし、現在のAmazonクラウドのサービスメニューにはインスタンスの大きさを選ぶことはできても、ストレージのスピードや種類は選べません。データベースの性能はプロセッサよりもストレージの性能に依存する部分が多く、物理設計によって複数のストレージにテーブルを分散するといったテクニックを用いることもよくあります。
また、Oracleのクラスタ機能であるOracle RACの利用が可能なのかどうか、可能ならばサーバ間のインターコネクトはどのくらいの性能なのか、といったことも、高度な利用を想定する場合には知りたい情報でしょう。
果たしてAmazon RDSでそういった下位レベルのカスタマイズをどこまで提供できるかで、このデータベースサービスがどのような規模の顧客に対応できるかが決まってきます(当初はそうしたカスタマイズが提供されなくても、将来は提供されるかもしれません)。
クラウドによるデータベースサービスの提供は、SQL Azure、Google App Engine for Business、セールスフォース・ドットコムのDatbasse.comをはじめ、ClearDB、Xeroundなど各社が力を入れ始めています。しかし、OracleをサポートするのはAmazon RDSが初めてであり、これによりAmazonクラウドは業務アプリケーションへの対応で大きなアドバンテージを得たことになります。