「ハイブリッドクラウドへの移行を支援する」 米ヒューレット・パッカードがクラウド戦略を明らかに。HP Summit 2011
米ヒューレット・パッカード(以下HP)は先週の3月14日、イベント「HP Summit 2011」をサンフランシスコで開催しました。
これまでクラウドに対して明確な姿勢を明らかにしていなかった同社ですが、4カ月前に就任した新CEO レオ・アポテカー(Leo Apotheker)氏が基調講演に登場し、ハイブリッドクラウドにフォーカスすることを鮮明に打ち出しました。
また、2月に買収したVertica Systemsのデータ分析ソフトウェアをベースにしたデータベースアプライアンスも披露しました。公開されているビデオを基に、基調講演の内容をダイジェストで紹介しましょう。
HPの強さは幅広い製品群
HPのCEO レオ・アポテカー(Leo Apotheker)氏。
HPのCEOに着任してから4カ月半。多くの従業員、顧客、パートナーなどとHPの強味や戦略を議論してきた。ここでお話しするのはまさにその2つについてだ。
この10年でITは大きく変化した。私たちは情報の時代に生きている。そうした中でHPのビジョンとは、接続された世界のために、シームレスでセキュア、文脈に基づく体験を提供することである。
HPの特徴は優れた幅広い製品を揃えていることである。サーバ、ネットワーキング、ストレージ、ソフトウェア、アウトソーシング、アプリケーション、コンサルティング、デスクトップPC、ノートPC、タブレット、そしてプリンタまで揃えている。
コンシューマからエンタープライズまでどのカテゴリでも、非常にコンペティティブだ。
しかしHPを取り巻く世界は早く変化している。コンシューマライゼーションが進み、クラウドコンピューティングが登場し、人々の生活や働き方も変化している。
個人がプロフェッショナルとコンシューマに分かれている時代は終わった。仕事場で、家庭で、移動中であっても、人々は仕事やコミュニケーションなどそのときの自分の文脈に基づいたシームレスでセキュアなコンピューティング環境を求めている。
クラウドコンピューティングとコネクティビティが、根底から変化を起こそうとしているのだ。クラウドとコネクティビティが音楽業界を、出版を、銀行をどう変えてきたのかを思い出してほしい。
こうした環境で、データセンターからエンドポイントまで製品を提供し、セキュアなソリューションを提供できるベンダがHPのほかにあるだろうか?
ハイブリッドクラウドへの移行を援助する
多くのITシステムはトラディショナルなスタイルで構築されている(下図の左)、そしてこの分野でHPは多くのソリューションを提供してきた。
エンタープライズの分野で見れば、HPはストレージやサーバの分野でリードしており、サービスの分野でもリードしている。デバイスの分野でも同じようにPCからプリンタまで提供するリーダーだ。これらは引き続き現在のビジネスにとって重要である。
しかし新しいアーキテクチャへの変化が起ころうとしている。図の右に示すようにクラウドが新しいアーキテクチャとなる。
クラウドは、複雑さを隠蔽し、柔軟かつ迅速、スケーラブルで高性能である。そしてこの分野でも私たちは有利なスタートを切っている。というのも、10のうち7つのクラウドサービスプロバイダが私たちの顧客であり、5つの主要なサーチエンジンのうち4つが、世界的なトラフィック上位の10サイトのうちが8サイトが私たちの顧客である。
私たちはコアとなるデータセンターを作るだけでなく、デバイスも提供し、コネクティビティも実現することができる。
クラウドの可能性は膨大であり、私たちは優位な立場にいる。とくに多くの大規模な顧客は、既存のトラディショナルなシステム、プライベートクラウド、パブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドなシステムを長期間にわたり利用することになるだろう。
そしてHPこそ、顧客のトラディショナルなシステムからハイブリッドなアーキテクチャへの移行を援助できるベンダである。
私たちは「HPクラウドシステム」という、プライベートクラウドやパブリッククラウドの構築を行うソリューションを提供している。私たちにはアプリケーションの移行からコンサルティング、アウトソーシングまで備えている。
ビジネスインテリジェンスのためのアプライアンスを開発中
情報爆発の時代になり、アナリティクス、ビジネスインテリジェンスも重要な分野となる。私たちはデータ処理に関してレガシーな資産を持たないがゆえに、新しい時代へといち早く参入することができる。
私たちのフォーカスはビッグデータの分析にあり、Vertica Systemsの買収は、私たちの方向性を示している。
非構造化データ、半構造化データ、構造化データなどが扱えて、カラムナデータベース、データ圧縮などの機能を備えた、新しく設計されたデータベースがVerticaだ。ビッグデータをロードし、リアルタイムに分析できる。
Verticaの買収を発表した日から、ソフトウェアとハードウェアの最適化によるアプライアンスの開発を進めてきた。
このアプライアンスで、例えばレンタカーの料金を、顧客ごとにその地域の天候、ガソリン料金といったリアルタイムな情報を組み合わせて提案することができる。
まとめよう。HPの戦略は次のようなものになる。
顧客のトラディショナルなシステムを最適化し、次世代のクラウドベースのアーキテクチャを構築、管理、シームレスにハイブリッドモデルへの移行を助ける。そして、コンシューマからエンタープライズまで、接続された世界(コネクテッドワールド)を作り提供すること。