Webブラウザは多様性の時代へ。IBMはFirefoxを社内標準に、マイクロソフトはグーグルのChromeをサポート
Webブラウザは多様なベンダが共存する状態が定着しつつあります。あるベンダが圧倒的に高いシェアを獲得し、それによってWeb標準の動向を左右する、ということは今後しばらくは起きないのではないでしょうか。
IBMは標準ブラウザにFirefoxを採用
IBMが、社内標準のWebブラウザをFirefoxにすることが明らかになりました。同社ソフトウェアグループのオープンソースソースおよびLinux担当バイスプレジデント Bob Sutor氏が、自身のブログに投稿した「Saying it out loud: IBM is moving to Firefox as its default browser(大声で言おう、IBMはFirefoxをデフォルトブラウザにする)でその理由を表明しています。
Firefoxを採用する理由として、FirefoxはIBMの戦略上重視しているWeb標準に準拠しており、コミュニティベースのオープンソースであり、拡張可能な機能を備えている、などが挙げられています。
Office Web AppsがChromeをサポート
マイクロソフトは、Webアプリケーション版のOffice 2010である「Office Web Apps」で、グーグルのChromeのサポートを開始したと、ブログMicrosoft Office Web Appsへのエントリ「Chrome, Hotmail, and Office 2010」で明らかにしました。
これまでOffice Web Appsの対応ブラウザはInternet Explorer、Safari、Firefoxとなっており、Chromeはサポート外となっていました。マイクロソフトは今回のサポートのためにChromeで利用したときに発生していたいくつかの障害を修正したとブログに書いています。
ブラウザのレンダリングを気にする時代は終わらせよう
ブラウザベンダが積極的に標準に準拠するように努力しているのと同時に、Webアプリケーションの開発者たちもアプリケーションを複数のブラウザに対応させようとした努力が重なって、最近ではブラウザに依存したWebサイトやWebアプリケーションは少なくなりました。
Webサイトを利用するときにブラウザの種類を気にしたり、利用するWebサイトによって使えるブラウザが限られているといったことは減少してきています。
こうした状況こそ、利用者にとって利便性が高く、特定のベンダに囲い込まれない、よりよいWebのあり方に近づいているのではないでしょうか。HTML5では、過去との互換性、そしてWebブラウザ間の互換性ともにより強化されるため、こうした状況はさらに前進していくものと期待しています。