W3CがWebアプリケーションの実行性能に関する標準仕様のワークグループ「Web Performance Working Group」を設置
HTML5などの普及によって、Webブラウザはドキュメント閲覧ツールからアプリケーションプラットフォームへと変わっていく方向で進化しています。このとき、Webアプリケーションの開発者にとって重要な関心事項となってくるのがWebアプリケーションの実行速度です。
そこでW3Cは、Webアプリケーションの実行性能に関する標準について策定する「Web Performance Working Group」の設置を発表しました。
ページのロードや命令の実行にかかる時間を返すAPI
このワークグループは、ベンチマークプログラムのようなものを開発するわけではありません。「Web Performance Working Group Charter」(Web Performanceワーキンググループ憲章)のページの「1. Scope」で、このように説明されています。
The Web Performance Working Group's deliverables include user agent features and APIs to measure aspects of application performance.
Web Performacneワーキンググループが提供するのは、ユーザーエージェント(Webブラウザのこと)の機能として、アプリケーション性能を計測するAPIである。
具体的には以下の3つのAPIが検討されているようです。
- Navigation Timing
Webページをロードするのにかかった時間や状態などを返す - Resource Timing
Webページに含まれる画像などのリソースのロードにかかった時間や状態などを返す - User Timings
あるコードの実行にかかった時間などを返す
すでにドラフトとして「Web Timing」が公開されており、これを基に議論が進むようです。
ワーキンググループの共同チェアには、グーグルのArvind Jain氏と、マイクロソフトのJason Weberが就任するとされています。
Internet Explorer 9、Chromeで実装はじまる
ワーキンググループははじまったばかりですが、すでにWebブラウザでの実装は試験的なものが先行しているようです。マイクロソフトのInternet Exploere 9では、Platform Preview 3から一部の実装をはじめていると、ブログ「Measuring Web Page Performance」で、またグーグルのChrome(オープンソースのChromium)でも、ブログ「Do You Know How Slow Your Web Page Is?」で実装を説明しています。
いままでWebブラウザによるドキュメントのロード時間や実行時間などを計測するには、そのWebブラウザ独自のトレース機能やFirebugなどのアドオンを利用する必要がありました。これら性能に関するAPIが整備されれば、JavaScriptプログラムから標準のAPI経由でそうした情報を取得できるようになりそうです。
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