グーグルとVMware、両社のツールを統合したクラウド対応開発ツールをリリース。Google App Engine for Businessの発表も近い?
グーグルとVMwareは、両社のクラウド対応アプリケーション開発ツールの統合を進め、2週間以内にリリースすると先週の木曜日、10月21日付けで発表しました。具体的には、グーグルのGoogle Web ToolkitとVMwareのSpring Rooの統合、そしてGoogle Speed TracerとSpring Insightなどの統合などです。
どのようなツールが統合されるのか?
VMwareのSpring RooはコマンドラインからJavaのソースコードを生成する開発ツールで、データベースとそれに関連したフィールドなどを伴う基本的なWebアプリケーションが生成できます。しかしユーザーインターフェイスの部分はそれほどリッチなものが生成されるわけではありませんでした。
一方、Google Web Toolkitはリッチなユーザーインターフェイスを生成してくれるツール。この2つの統合によって、HTML5やAjaxに対応したエンタープライズアプリケーションが効率よく開発可能だと両社は発表で説明しています。
さらにEclipseベースのSpringの統合開発ツール「SpringSource Tool Suite」に、Google App Engineの開発を行うための「Google Plugin for Eclipse」も統合され、VMwareの開発ツールでGoogle App Engineアプリケーションの開発が容易になるとされています。
また、Webアプリケーションの性能を分析するグーグルの「Speed Tracer」と、Javaアプリケーションの内部トレースが可能な「Spring Insight」の統合によって、サーバからクライアントにわたる全体に対してボトルネックの検出や調査が行えるようになります。
Google App Engine for Buisinessの発表はまだ
こうした両社のツールの統合は、5月に、米サンフランシスコで行われた開発者向けのイベント「Google I/O」ですでに発表されていました。それが今回、正式にリリース(リリース文書内ではgeneral availability、一般利用開始)になると発表されたわけです(参考:グーグルとVMwareが、クラウドとオンプレミスのJava互換実行環境を実現。SpringとGWTの統合ツールも提供)
これはVMwareにとって複数のクラウド、すなわちvSphereやセールスフォース・ドットコムとのVMforce、グーグルのGoogle App Engine for Businessなどに対応した開発ツールやフレームワーク実現への一歩であり、グーグルにとってはGoogle App Engine for Businessの企業向け利用促進活動の一部だといえます。企業向けのクラウド利用を促進したいという両社の思惑が一致したことによるツールの統合です。
しかし、このツールに対応したグーグル側のクラウドである「Google App Engine for Business」は、今年の第3四半期にリリース予定と5月に発表されて以来、いまのところ何の音沙汰もありません。すでに第3四半期は過ぎ、11月になろうとしています。
しかし両社によって統合ツールのリリースが発表されたということは、Google App Engine for Businessの発表も近いのかもしれません。