次期SQL Serverでは、カラムナデータベース機能とインメモリ処理をリレーショナルエンジンに統合へ
データベースを列方向に圧縮するカラムナデータベースや、メモリ上にデータを置いて高速に処理するインメモリ機能といえば、ビジネスインテリジェンス用途で大規模なデータを分析するためのOLAPサーバといった専用データベースの機能でした(参考:カラムナデータベース(列指向データベース)とデータベースの圧縮機能について、マイケル・ストーンブレイカー氏が語っていること)。
しかし次期SQL Serverでは、トランザクション処理用のSQL Serverのデータベースエンジンにカラムナデータベース機能やインメモリ処理を統合することで、データ分析機能にも優れたデータベースエンジンになることが、11月18日に行われたSQL Serverのイベント「2010 PASS Summitで明らかになったようです。
リレーショナルエンジン+多次元分析エンジン
2010 PASS Summitに参加したエンジニアAndrew Burst氏がブログにポストした記事「SQL Server Goes Columnar, Stays Relational」には、次のように記されています。
The next version of SQL Server, currently code-named “Denali” and available as a CTP1 release as of this week, will allow for the creation of so-called columnar indexes over relational databases. In other words, the SQL and BI teams have worked together to implement VertiPaq’s technology within the core SQL Server relational engine.
次期バージョンのSQL Server、今週CTP1が公開されたコードネーム「Denali」では、いわゆるカラムナインデックスをリレーショナルデータベース上に作成できる。言い換えれば、SQLとBIチームが共同でVertiPaq(訳注:マイクロソフトのBI技術名)の技術をSQL Serverリレーショナルエンジンのコアに組み込んだのだ。
This means the in-memory speed and high rates of compression currently implemented by PowerPivot, will also be available in relational databases.
これは、PowerPivot(訳注:Excel用の多次元データ分析エンジン)が現在備えているインメモリ処理のスピードと高圧縮機能がリレーショナルデータベースでも利用可能になる、ということだ。
ただし、Analytics Servicesも引き続き提供され、BI処理全般についてはこちらの方がやはり高性能な処理が可能だとのことです。
Network Worldのブログ「Brian Egler's SQL Server Strategies」でも、Brian Egler氏が次のように書いています。
The column store compression engine used with PowerPivot, named VertiPaq, will also be included in Denali’s Relational Engine and Analysis Services. This is great news as PowerPivot shows great potential but relies on client-side computing. Now we can have the same UI and performance features on the server-side. Excellent news.
PowerPivotに使われているカラムストア圧縮エンジン、VertiPaqが、Denali(次期SQL Server)のリレーショナルエンジンとAnalysis Servicesにも搭載される。これは素晴らしいニュースだ。PowerPivotは大きな可能性があったが、クライアントサイドに依存していたのだから。これからは同じUIと性能がサーバサイドにも備えられる。まったく素晴らしい。
カラムナデータベース機能のリレーショナルエンジンへの搭載は、たしかオラクルのOracle Exadata V2でも搭載していたように記憶しています。今後、ハイエンドのデータベースエンジンではこうした統合が進んでいくのかもしれません。
次期SQL Serverではこのほかにも新しい機能が予定されているようですが、それはまた追って紹介していくことにしましょう。